空海の幼名はなぜ「魚」なのか?
空海の幼名はなぜ「魚」なのか?
空海の幼名が真魚ということは、お伝えしましたね!
そして、その真魚という名前がどんな意味か?
「魚」という名前、不思議に思われたのではないでしょうか?
当時は、精気の強い動物の名前を付けて、健康を強靭を期待する
習わしがありました。
空海の叔父阿刀大足が、自分の家に連れて行く前に「顔つなぎ」にいった、佐伯今毛人こそ、都の立派な佐伯氏のなかの筆頭でした。
佐伯今毛人さえきのいまえみし、と読みます。
おなじ蝦夷でも毛人と書くのは、もっとも勇猛だといわれた東国の
(関東地方)の野蛮な(ハラスメントではなく)人々のことで、
知らないから畏れられていたんですね!
その勇猛さにあやかって、今毛人とつけられたと考えられます。
空海の幼名の真魚も、そういう意味。
「魚・な」というのは下等の魚をさして、
「魚・いお・お」と発音するのは、上等の魚を指す言葉だったと
考えられるそうです。
つまり、
「真魚・まお」と読むのは、鯛のことを指すのではないかと
いわれています。
この時代、地方では古代的な動物名称を名前にする習慣が
残っていたのです。
インディアン(ネイティブアメリカン)の名前の映画、『ダンス・ウィズ・ウルブス』
が、有名ですよね!
やはり、インディアンも狼・鷲など、強い霊力のある動物の名前を付けたりしています。
空海は「真魚」という名前で、呼ばれましたが、
実は「貴物・とおともの」という名前も持っていました。
この名前は神様との約束を果たす「名前」だったと推察します。
声に出して呼ぶことは憚られるほど「高貴」な「モノ」として
地上の人々を照らす使命を持っていたのです。
しかし、
天皇制の大和朝廷時代に、「超越している」優れた名前で
真魚を、呼ぶことは憚られのです。
あまり知られていないのは、それを前面に出すデメリットの
方が大きかった方だと考えます。
当時は天皇の子供=皇子たちでも「神々しい」名前を付けていません。
名前がその人。そのものなのですから、「貴物」では「朝廷をも畏れぬ名」
を持つことになってしまう。
瀬戸内海の荒潮にもまれた「鯛」は、当時でも絶品の魚だったと思います。
その証拠にえびす様は鯛を持っていますよね!
鯛の鯛といって、骨の中にも鯛があります。真の海の貴きもの、
という名前なのです。
「空海」となることが、決定づけられた名前でもあるのです。