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ドラマの中の筆跡⑧『最高の人生の見つけ方』原題は『棺桶リスト』


勤勉実直な自動車整備工カーターと、大金持ちの豪腕実業家エドワード。

出会うはずのない二人が、人生の最後に病院の一室で出会った。

家族のために自分の夢を犠牲にして働いてきたカーター、そして、

お金だけは腐るほどあるものの見舞い客は秘書だけというエドワード。


お互いに人生の期限を言い渡されたという以外、共通点は何もない。

エドワードは病院のオーナーだけど、経費削減にために個室をなくし、

全部2人部屋にしてしまった。

その後そこに入院することになって秘書に散々文句を言うのだが、

「あなたがみんなの反対押し切って2人部屋オンリーにしちゃったんでしょ!」

という具合に秘書は融通が利かない堅物。

エドワードにしてみれば貧民階級の爺さんと一緒の部屋なんて

ムカつくばかりだが、カーターだって不愉快だ。

毎朝秘書が「世界最高のコーヒー」をいれに来る。

エドワードはさも「どうだ?」という態度。

カーターはよく本を読んでいて静かに余命を受け入れている風に見えた。

が、そんな二人を結びつけたのは、カーターが殴り書きした一枚のメモ。


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棺おけに入る前にやりたいことを書き出した 「棺おけ・リスト」。

丸めて捨てたはずのメモをエドワードが拾いあげて嘲るように

読み上げるのだ。


「荘厳な景色を見る」

「赤の他人に親切にする」

「涙が出るほど笑う」などささやかな夢のリスト。


いっぽう高飛車なエドワードは俺ならこう書くね!と

「スカイダイビングをする」

「ライオン狩りに行く」

「世界一の美女にキスをする」などと書き加える。


カーターは病院にいるってのに非現実的な大口叩きやがって、

と思いながらもエドワードの強引さに負けて生涯最後の冒険旅行に

いくことになる。

この1枚の紙切れに書かれた二人の文字。

モーガンフリーマンは『ショーシャンク』とは全く別の筆跡で書くのだ。

人格が変わると字も変わる。


私は何度も食い入るように見たけれど、2人の文字の対照的なことは

さておいて、2人の文字の共通点を読むことができた。

今回はタロットカードのリーディングを1枚でするか、

3枚でするかを選ぶように、筆跡を分析をする方法を変えている。


今日は筆跡の分析の中でもとりわけ「行動や思考」に関することを

「章法」のプロファイリングから抜き出した。

余命宣告された二人の「行動や思考」の共通事項が見つけやすいと

考えたからだ。

私はふだんは「個性・長所・性格」を文字から読んだうえで、

それを補強する「章法」という文字の配置から「行動や思考」も

あわせて読み解く。

写真の中に見える青線の右上がり、緑線の右下がりの箇所から

重点的に読み解くと

「2人とも、過去に清算できていない未練が大きい。未来に希望がなく、

過去への後悔でいっぱい」なのだ。

エドワードの方が経済力があったので、人生でやり残したことを

やってみよう!とカーターを巻き込んだ。

2人はリストのミッションを終了するたびに線を引いて消していった。

リストも半ばを終えた時にカーターは危篤状態になる。

その時の会話が傑作だ!


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パジャマのポケットからエドワードに「コピ・ルアク」の説明ウンチクを

取り出して渡すのだ。エドワードは音読する

「コピ・ルアクはインドネシアのスマトラ島で野生のマレージャコウネコに

餌として摂食される。果肉は栄養源となるが、種子にあたるコーヒー豆は

消化されずにそのまま排泄されるので、現地の農民はその糞を探して

中からコーヒー豆を取り出し、きれいに洗浄してよく乾燥させた後、

焙煎する。手間がかかるため世界一高価なコーヒーとして君臨する」っ

ていう感じの内容。


だけど、エドワードは「糞」のあたりから不快な表情に激変する・・・

「だから俺は勧められても糞からできたコーヒーを遠慮したんだよ」

みたいな無言の会話が見えるようだ。

そしてエドワードは頭から湯気を出すほど怒り心頭、

それを見てカーターが腹を抱えて笑う。

そこでエドワードは「笑わせるために、これをよこしたんだ」って

わかるの。2人で涙流して笑って、クシャクシャのリストの

「涙が出るほど大笑いする」項目を消すのだ。


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その後、エドワードはカーターからの手紙で娘とも和解、

世界一の美女である孫娘ともキスをして、また一つミッション終了。

カーターの葬式での弔辞も良かったなぁ。

クシャクシャのリストを前において、生れてはじめて友情を語って泣く

エドワード。ここはもらい泣きできるところ!


そしてエドワードも死んだ。その骨壺は「例のコーヒーの空き缶」で、

ヒマラヤの山の頂上あたりに祠を立てて、カーターのコーヒー缶のとなりに

エドワードの骨壺のコーヒー缶が置かれ、その真ん中に棺桶リストの黄色い

メモが折りたたんで置かれる。


この違法の埋葬をしたのは堅物のエドワードの秘書。

ユーモアは無かったが、ただ一人の忠実な部下だった。

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バーバラ・マルカワ
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