西島太郎編著『佐々木京極氏』を刊行します
8月の新刊、西島太郎編著『佐々木京極氏』(シリーズ・中世西国武士の研究 第7巻。A5判・並製・387ページ。定価7,000円+税)が刷り上がってきました。
本書の目次は下記の通りです。
【目次】
総論 佐々木京極氏研究の軌跡と課題 西島太郎
第1部 京極導誉論
Ⅰ 南北朝期における守護京極氏について 宇野日出生
Ⅱ バサラ大名の虚と実――佐々木道誉の場合 佐藤和彦
Ⅲ 京極道誉被官吉田厳覚の動向をめぐって――京極道誉研究の一視点 星野重治
第2部 分郡守護論――南北朝・室町期の京極氏
Ⅰ 南北朝内乱期近江国における佐々木京極氏の立場――分郡守護論の再検討を中心として 星野重治
Ⅱ 南北朝期における摂津国多田院と佐々木京極氏――分郡守護論(守護職分割論)の再検討を中心に 星野重治
Ⅲ 南北朝期・室町期の近江における京極氏権力の形成 北村圭弘
第3部 戦国期の京極氏
Ⅰ 戦国期の守護権力――出雲尼子氏を素材として 今岡典和
Ⅱ 京極氏奉行人連署奉書について 宮島敬一
Ⅲ 浅井氏権力の形成――竹生島支配を中心にして 宮島敬一
Ⅳ 戦国期の京極氏家臣団――文献史学からの考察 太田浩司
付録 京極氏略系図・略年表 西島太郎編
佐々木氏は宇多源氏の一流で、近江源氏とも呼ばれます。佐々木秀義および4人の息子(定綱・経高・盛綱・高綱)が源頼朝に仕え、以後、鎌倉幕府の有力者となったことで知られています。定綱の子・信綱の三男泰綱の流れが六角氏、四男氏信の流れが京極氏となりました。
鎌倉期の京極氏は不明な点も多いですが、佐々木(京極)導誉が足利尊氏・室町幕府のもとで飛躍を遂げ、出雲・隠岐・飛驒の守護や侍所頭人をつとめるなど、屈指の名門となります。そこで京極氏中興の祖となった京極導誉に関する論文を「第1部 京極導誉論」として収録しました。
室町幕府のもと、近江守護職は基本的に六角氏が保持していましたが、京極氏も江北を中心に大きな勢力を築いていたため、「分郡守護」や「半国守護」などとも称され、その実態・是非をめぐって活発な議論が交わされました(摂津国多田荘も含む)。そこで「分郡守護」論に関する論文を「第2部 分郡守護論――南北朝・室町期の京極氏」として収録しました。
戦国期になると、出雲では尼子氏が、近江では浅井氏が台頭します。その中で京極氏はどのような歴史をたどったのか、またその支配実態はどのようなものだったのかについても盛んに研究がなされました。そこで戦国期の京極氏に関する論文を「第3部 戦国期の京極氏」として収録しました。
また冒頭には総論として「佐々木京極氏研究の軌跡と課題」を配し、これまでの京極氏研究の流れをまとめた上で、今後の課題を抽出していただきました。
なお、「シリーズ・中世西国武士の研究」は『薩摩島津氏』『豊後大友氏』など、『国名+○○氏』という書名が多いのですが、先にみたように京極氏の場合は近江をはじめ、出雲や飛驒等各地での活動が特徴的なため、書名には地域名を入れず『佐々木京極氏』といたしました。
本書は今後京極氏を研究する上で座右の研究書になることは間違いないでしょう。本書の刊行を機に、京極氏研究がさらに進むことを願ってやみません。
文責:丸山