私の地獄

人は誰でも地獄を持つものだと思う。

丸裸にされて生命力を根こそぎ奪われ、人として生きるプライドさえも失う世界。

私は、自分が世界に対して何の解釈もしなくなった時に、その地獄が訪れると思っている。

世界なんて、ちっぽけな人の意味づけでできていて、誰もが見惚れる美人も、誰もが一生に一度は訪れてみたいと思うようなレストランも、人が何の意味付けもしなくなったら、それはただの物質となる。

ただただ美しいものも、醜いものも、嬉しさも苦しさも何にもない世界に、何のために生まれたかわからない私たちが、ただただ命が途絶えるまで、寝て食べて排泄する行為を繰り返す世界。

死ぬことだけを待つ世界。それは監獄に閉じ込められた囚人と同じ。

それは私にとっての地獄であり、ふとした時に私の背後に現れる世界。

そんな地獄から逃れるために、今日も本や人から多彩な世界の切り取り方を学んで、目に映るもの隣にいる人が、美しく愛おしく感じられるように、生きるのである。

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