ネイルPJ⑥「インタビュー!質問設計で気をつけるべきこと」
前回に引き続き、サービス企画におけるユーザーインタビューの話をしていきます。
インタビューは会社で数回やったことがあったけど、サービスの競争優位性になり揺るようなインサイトを取るインタビューは初めてて、最初は上手く行かないことだらけでした。
インタビューで感じた難しさ
サービス企画におけるインタビューの難しさは、ただ情報を収集すればいいわけではないことにあります。そう、サービスの軸となる深い価値観・競争優位性につながる顧客ニーズを引き出すことが目的の情報収集なのです。
よってインタビュー後に「仮説通りだった!インタビューしなくても、意思決定の軸が変わらなかった」と明るく終わってしまっては、あまり意味がないのです。
当初インタビューを始めたての頃は、インタビューメモを見返したところ、インタビュー前持っていた情報と何か変わったかな??と思うことが多く、重要な情報が取れていませんでした。
この課題を克服するためにインタビューに関する書籍を3冊ほど読み、自分の現状と照らし合わせながら、改善を図っていきました。
サービスに血を通わせるための、インタビュー
インタビュー後のゴールとしては、フェーズやユーザーとの距離感によって様々だと思いますが、ファースステップの課題・ペルソナの特定を目的にしたものであれば、「サービスに血が通ったと思うまで、顧客の解像度を高める」こと。具体的に「このサービスは、どんな働き方・生活をしている誰に強く必要とされるもので、彼らは〇〇な価値観を持っているから、サービスはこうしなきゃいけない」と、聞いている人がちょっとひくくらい、ストーカーチックにぺらぺらと話せるようになることです。
ここまで顧客の課題の解像度を高めるために、以下のような点を気を付けていきました。
インタビューの方向性(Tipsというよりは考え方)
まず考え方としては、以下のようなことを念頭に置いていました。
①直接課題を聞くのはナンセンス。顧客も気づいてない課題を引き出す
インタビュー相手に「現在、〇〇について課題に思っていることはなんですか」と聞くのはやめましょう。いや聞いてもいいけれど、最後にしましょう。インタビューでは顧客が気づいていない課題を引き出すべく、実態を聞き出すことが重要です。
例えば、「ネイルサロンに行く際に課題に思うことはなんでしょうか」ではなく、「今までネイルサロンに行った中で、最悪だった出来事を教えてください」と事実ベースで聞き出すと相手から具体的なエピソードを引き出せます。エピソードの中から、強く課題に感じていることを、表情やワードチョイスから判断していきましょう。
②詰めてると感じさせない雰囲気で、「なぜ」と深堀まくる
本音を引き出すためには、「なぜ」を繰り返して相手の価値観を掘り当てることが必要になってきます。よくなぜを5回は繰り返せと言いますが、その際、雰囲気がこわくならないように気を付けましょう。
詰めるようになると、相手も丁寧に言語化してくれなくなります。
③多方面に話を聞いて、情報を立体的に掴み取る
インタビューは、ユーザーだけではなく、協力パートナー、サプライヤー、類似企業など様々に情報を取得することで、多面的に仮説を構築でき、より深いインサイトが得られやすくなります。
例えば、今回シェアサロンのオーナーにヒアリングをした際「人間の脳は綺麗な場所で施術されると、自分が綺麗になったと錯覚する」というお話を聞きました。非常に重要なヒントで、その観点から実際にどんな場所でなら施術したいと思うかその時の条件は何かなど、深ぼることができました。
インタビューの手法(Tips)
ここまでインタビューの方向性という、大枠での話をしてきましたが、ここからはより具体的な質問の方法について、記載していきます。
①抽象化した習慣を聞くのではなく、「前回は〜」など時を指定して事実を聞く。
インタビュー対象者に習慣を聞く際「普段休みの日は何をしてますか〜」など、その人の日常を習慣的なものと捉えた質問をしてしまうことがあります。そういった質問をすると、人間の本能的に、相手に見栄えの良い回答を出そうとしてしまったり、一番印象に残っている出来事を出したりと、真実に近い回答を得られません。
ですので、「先週は何をしていましたか?」など時を指定して事実ベースで聞いた後に、そういった過ごし方は多いですか?と習慣を聞いていくようにしましょう。
②2択で聞きたい質問は2択にはせず、オープンクエスチョンか、選択肢にグラデーションを持たせる。
サービスに対して熱がこもると、「こういったサービス使いたいですか?」と2択で選択肢を提示する場面もあるかもしれません。たいていの場合、インタビュー相手は自分とまだ関係性が築けていない人が多く、「使いたいですか?」と聞かれたら、嘘でも使いたいと答えてしまうケースもあります。
そのため「お金を払っても使いたい度数を%で表すとどれくらいですか?」とグラデーションを持たせたり、「こういったサービスがあったらどう思いますか?」とオープンにすることで回答を限定させないようにしましょう。
③検証したい仮説は、1クエスチョンに1つ
適切に仮説検証を回す目的で、一つの質問に複数の要素を入れ込まないようにしましょう。
例えば、「カフェやバーといった飲食店を間借りした空間で、5000円程度のネイルができるとしたらいきたいと思いますか?」という質問はナンセンスです。
①間借りした空間と②五千円程度のネイル、というところで2つ要素が入ってしまっており、相手がポジティブなリアクションをしたとしても、何がよかったのかわかりません。
そのため「①間借りした空間でネイルするのは、どう思いますか?」「5000円程度のネイルができることについてはどう思いますか?」と質問を分けましょう。
④言葉の定義は誰にとってもわかりやすいものにする
言葉の表現は意外と何回か見直さないと、わかりづらいものになっていたります。例えば今回の質問でも用いた「居酒屋」「飲食店」などは人によってイメージする空間が異なります。なのでより自分達がイメージする空間が伝わりやすいように「女子会で行くようなおしゃれなビストロ」など、定義して話すようにしていました。
かなり長文になってしまいましたが、以上インタビューの学びでした〜〜〜。引き続き、ガンバっぺ!!