大殿筋強化のための歩行練習
大殿筋強化のための歩行練習
歩行時には特に初期接地時と荷重応答期に強く活動して、股関節が屈曲しようとする動きを抑制する働きがある。大殿筋が弱い場合、荷重応答期で股関節が過剰に屈曲してしまい、お尻を突き出した姿勢になってしまう。歩行分析では初期接地時の体幹の傾きを観察し,前方への傾きがある場合,大殿筋の筋力低下が疑われるため,大殿筋の筋力テストや筋委縮の評価を考慮すると良い.
大殿筋麻痺の場合は,体幹を後方へ大きく反らし,重心を股関節の後方においたまま歩行する.
大殿筋は股関節における前後方向の安定化に,中殿筋は左右方向の安定化に寄与する.
大殿筋拘縮の評価方法
股関節屈曲90°から100°で内旋しないで,内転する.恥骨を通る垂線を超えることが正常範囲である.拘縮がある場合,恥骨を通る垂線を超えることができない.内旋をいれて検査すると梨状筋が緊張するため,内転可動域が制限される.
大殿筋の筋力強化練習
側臥位での股関節伸展、腹臥位での股関節伸展、ブリッジ練習などを患者の筋力に合わせて行う。筋力回復してきたら、速度をゆっくりしたり、等尺性収縮などを織り交ぜて確実に筋収縮が入るようにする。
歩行練習で大殿筋を強化したい場合
大殿筋を歩行中に強化したい場合は,①速く歩く,②踵接地を強く意識する,③荷重応答期で起こる過剰な股関節屈曲や外転をパッドを押しあてたりして抑制することが肝要です.患者の股関節の真後ろから前方に向かって押すイメージで、パッドを押し当てる。パッドの準備に関しては、大きめのクッションを理学療法士の大腿前面に、弾性包帯を用いて固定する。このときクッション位置が患者の股関節の真後ろになるように高さを調節する。これによって、荷重応答期の過剰な股関節屈曲を抑制することができ、患者が直立位で歩行練習するのに役立つ。理学療法士自身の介助も楽になるし、患者自身も楽に歩けるようになる。
以下は大殿筋の基礎的な内容です。
起始:腸骨翼後殿筋線後方,仙骨・尾骨外側縁,胸腰筋膜,仙結節靱帯
停止:大腿筋膜外側部から腸脛靭帯,大腿骨殿筋粗面,大腿筋膜
神経支配:下殿神経L4-S2
血管支配:上・下殿動脈,内側大腿回旋動脈,大腿深動脈の第1貫通動脈
作用:股関節伸展,外旋,外転(上部線維),内転(下部線維),大腿骨の固定下では骨盤後傾,腰背腱膜の緊張を調節し,腰部を安定化させる,初期接地時に骨盤,体幹が前方へ屈曲する力に対抗するために強く働く.
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