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いまさらApple Musicについての所感。(ストリーミングサービスについて)

ウッカリしていたというか油断していたというか。

音楽のストリーミングサービスについては『まぁアレだ、Qobuzが正式にサービスを開始するまではApple Musicでイイのだ』なんて考えていました。どうせアナログレコードを聴いてる時間の方が長いのだから。

ストリーミングサービスは『図書館的に資料を求めて』『今日は軽くBGMで十分』なんて時にお世話になっています。

このサービスを軽視しているつもりは全くないのですよ。でもシッカリ聴き込むためのメディアとして使っていないので、ロスレス配信が始まったというのにキチンと音質の検証をしていなかった。油断していた。

なので書きますよ今号は、だいぶマヂで。


*そもそもインフラとして。

先日、高度に変態なお客さま(褒めてます)と『ところで音楽のストリーミングはドコのサービスを使っているか』という話になって。

このお客さまは、PCというかソフトウェア開発のスペシャリストです。曰く『チームAppleは使い勝手が良すぎてつまんない』と。MacもiPhoneもApple Musicも、ユーザーとして使いやすすぎるのでつまんないんですって。だからAmazon Musicにて楽しく音楽を聴いているとのこと。サスガ上級変態。

魚座B型のワタシはといえば『凝り性なのに面倒くさがり屋』という性質から、すっかりチームAppleの一員です。前述会話のあと、一応Amazon Musicの『unlimitedお試し』をお試ししてみようとは思ったのですが、やっぱり面倒くさいモードに突入してしまい、まぁアレだ、という事に。プライムビデオはたくさん観るのにね、すみません。



*キチンと検証してみよう。

唐突ですが、思い込みってのはホントどこからやってくるのでしょう。Apple Musicが192kHz/24bit音源をストリーミングしているとは気づいていませんでした。どうせ44.1kHz/16bit止まりで、それでロスレスって言ってるんでしょ?って勝手に思い込んでいました。嗚呼なんたる失態。

e-onkyoさんは32bit音源やWAVデータのダウンロード販売をやめてしまっているし、音楽データの配信やダウンロード販売もイロイロと変化があるんだなぁという気づきがあったので、改めていまワタシがお世話になっているApple Musicのロスレス配信ついて検証してみようと思ったのであります。



*聴いた音源。

自分が制作に関わった何枚かのアルバムがApple Musicで配信されております。それぞれ最終のマスタリングをワタシがやっていますので、レーベルさんに納めた、いわゆる『完パケ納品データ』とストリーミングデータの比較試聴をしてみました。

同じサンプリングレートにて比較しました。
そしてこの比較試聴がモヤモヤの始まりになるのですが。。

このタイトルはNAXOSバージョンとSONYバージョンがあります。
ワタシが関わったのはNAXOSバージョンです。
大変だったけど、この録音は勉強になりました。
写真も撮らせてもらってます。
コレもNAXOS音源。大変にトンがった内容です。
伊福部 昭さんの楽曲を和楽器で演奏。
冒頭から和楽器でゴジラです。

*試聴環境。(機材)

ストリーミングもストックしているPCM音源も、M1チップのMacからデータを送り出し。DACはMOONの280Dを、そしてヘッドフォンはゼンハイザーHD-800Sを使用しました。スピーカーでは聴いていません。



*で、どうだったの?

えーと、結論です。

『Apple Musicのストリーミングと、手元にあるRawデータの音質は同一ではなかった』であります。手元にあるデータの方が鮮明な音質です。

でもイイ線いってますよストリーミング。イイんじゃない?コレはコレで。

実はApple Musicのロスレス音源には不可解な点があります。『よく分からないコトはあるけど、結果として音色は悪くないし利便性を考えたら十分に価値がある』と素直に思えたのですが、でもやっぱり謎は解明したい。



*Apple Musicロスレスの不可解な点。

①前提としてMacの設定。

今回の検証において、音源データはMacから送り出しています。
Apple Music音源を聴く上で、まずはMacの設定をキチンとやらなきゃいけません。ワタシ、ウッカリしてココを気にしていませんでした。

Audio MIDIの設定というコーナーに入ってデータの出力先を選択すると、このようにフォーマットのレートが選択できます。Macの接続相手がMOON 280Dの場合、サンプリングレートは384kHzまで選べる。

とりあえず192kHzを選択した図。

実は真っ先に384kHzに設定してApple Musicの音源を聴いてみたのです。
そしたらあることに気づきました。

ロスレスマークの有無に関わらず、聴く全ての音源において280Dは384kHzのインジケーターを点灯させてるのです。いやいや、そんなワケないぞ。ロスレスだって48kHzと192kHzの2グレードが存在するのだし。

なんかおかしいぞ?

例えばMacのAudio MIDI設定を384kHzにして48kHzの音源を再生した場合、ひょっとするとこのMacは内部で384kHzまでデータをアップサンプリングしているのか?という疑問が発生。

モヤモヤするので、Appleさんに電話して問い合わせてみました。
回答を要約すると『よく分かりません』ということでした。


回答内容を整理すると、
・ロスレス音源は48kHz/24bitのデータとして配信。
・ハイレゾロスレス音源は192kHz/24bitのデータとして配信。
・その中間、例えば96kHz/24bitというレートの音源は存在しない。

なので、たとえ音楽レーベルから供給された音源のデータが96kHz/24bitだったとしても、Apple Musicでストリーミングされているデータのサンプリングレートは48kHzか192kHzかのどちらかである、と。それがどっちかというのは『ロスレスのマークを見てご判断ください』と。

むー、ホントか?

音源のレートについては一旦理解した。じゃワタシが冒頭に試したようにAudio MIDIの設定で384kHzを選択した場合、最終的にMacから出力されているデータはどうなってるの?と改めて訊いてみたら『よく分からない』と。

えー、かなりモヤモヤするなぁ。


②Apple Music側の設定も。

ストリーミングとダウンロードの項目を設定。これでハイレゾロスレスが聴ける環境になったというコトね。


③モヤモヤが解消されないから。

Appleさんからの公式回答は前述の通り。
でもどうしてもスッキリしないので、こういう事案にやたらと詳しい友人の清川さんに愚痴ってみたら。

『えー再生してる曲のレート、確認できるよー』って。
『ココ、ポチッとしてみてー』って。

何度見ても怖いよねー、このジャケ写。

えー?96kHz/24bitじゃーん!そんなのないって言ったじゃーん!
どういうこと?もっとモヤモヤしてきた。


④ということで、よく分からない。

Apple Musicの音源を再生している時、Mac内部でどんな処理が行われているのかは分かりませんでした。でもMacのAudio MIDI設定でフォーマットレートを切り替えながら同じ音源を再生してみると、やっぱり音が違うように聴こえる。高いレートの方がきめ細かいように聴こえるんだよなワタシには。

でもでも結局は分からないのだし。

こういう不可解なことなんか気にしないで手軽に高音質で音楽を聴こうと思ったら、Apple Musicのストリーミングサービスはとても上質。だからイイんじゃない?って思えたのですよ。

たまたまワタシは自分が関わった音源で比較試聴ができたけど、そんなコトやらなければ十分に美音を楽しめます。なのでワタシはこれからもApple Musicを使いますよ。魚座B型は、案外新しい事案に取り組むのが面倒くさいのです。



*こういうのがロスレスで聴けるってシアワセ。

気にしないって決めたから、せっかくなので音源の紹介もしちゃいます。

これら3枚のアルバム、ちょーオススメですよ。
楽曲、演奏、録音、全て素晴らしいのですが、なによりロックギターのお手本プレイが満載。こういう音源をキチンと鳴らせるオーディオシステムは素敵です。

AC/DCとYESはアナログのオリジナル盤を持っているけど、こんなふうにチョイと簡単にロスレス音源が聴けるってシアワセなことです。アナログ盤と比較しても、音色に残念感はまったく無いです。



コレはお客様に教えてもらったんだっけかな?エレクトロニカっていうかパンクっていうかニューウェーブっていうか。めっちゃカッコいい。



*資料とまとめ。

嗚呼、今号は長文になってしまった。
Appleスタッフさん、キチンと対応してくれましたよ。提示してくれた資料があるので貼っておきます。先の『96kHz/24bitもあるじゃん問題』は、こういう公式資料に明記されていないけど、ま、事情があるのでしょう。

小さなことは気にしないで、ボカーンと楽しく行こうぜベイベー。

ではまた来週に。
2024.3.20

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