アナログレコードって、イロイロと楽しい。
さてさて、今編はちょっとだけ宣伝も織り込ませて頂きます。
アナログレコードの存在価値が再認識されて、音楽メディア・マーケットで安定した立ち位置を獲得したように見える、と前編で書きました。ワタシ自身も『仕事道具ではなくて、好みで購入する音源』については、アナログ盤がリリースされているかを真っ先にチェックしています。
『アナログレコードで音楽を聴く』という行為が、なんでこんなに楽しいのか?あ、愉しいっていう文字の方が適切かな?今編ではそんなことを検証してみたいと思います。
いきなり結論ですが、ワタシの解釈としては『再生機器に何か加手すると、確実に再生音が変化するから』飽きずに楽しいのではないかと。
そもそもアナログレコードの音質がなぜ良いのか?という奥深い事案については、諸兄が名文を書かれていますのでワタシは遠慮しておきます。
カートリッジの交換、ターンテーブルの諸調整、クリーニングなど、なんだか内燃機関(エンジン)イジリと、とっても似ています。そして『いいモノを使ったとしてもさ、結局は調整がキモなのよ』と言いたくなってしまう。そりゃ趣味として楽しくないワケがない。
更に言うと、調整が芳しくなくても『全く音が出ない』という事態に陥ることがほとんどなく、原因究明の道筋が見えやすい。デジタル音源だと『ミスってしまったら無音状態』ですからね。ワタシも何度途方に暮れたことか。
オーディオを趣味としている方はとうにご存知なことですが、アナログレコードを聴くにあたって、まずはどうしても必要な機器があります。フォノイコライザーです。これはプリアンプやインテグレーテッドアンプに内蔵されている場合もあります。最近ではターンテーブルに内臓されている場合もありますね。
そしてMC型のカートリッジを使う場合は、適切なレベルまでシグナルゲインを昇圧した後にフォノイコライザーへ送電しなければなりません。この昇圧(増幅)動作にトランスを使う方法と、ヘッドアンプを使う方法があります。現在ではヘッドアンプ方式が一般的です。
トランス方式の場合は『昇圧』で、ヘッドアンプの場合は『増幅』。
前者は完全にパッシブな状態でゲインアップ。電源を必要としません。
後者は電気的にシグナルを増幅するアクティブ型。
なんとなくイメージとして、前者はトレーニングで身体の筋力増強、後者は仮面ライダー変身!みたいな。ちょっと違うかな・・
トランス方式もヘッドアンプ方式も、それぞれに良さがあります。どっちがイイかは完全に好みの問題。出音はトランスの方が音楽的で、ヘッドアンプの方がHi-Fi音質的という傾向に思えます。組み合わせるカートリッジによって方法を使い分ける方もいらっしゃいます。
で、宣伝を含んだご提案を少々。
ワタシ、BJ ELECTRICというメーカーの販売元をしております。由緒正しき昭和の頑固オヤジが鎌倉でケーブルやアンプをハンドメイドしておりまして、ワタシはソコの製品に心底惚れてしまい販売元をさせて頂いておる次第。BJ代表の石河(いしこ)さんとは、かれこれ20年以上の面識になるのですが、知れば知るほど楽しい人です。いつも学ばせて頂いております。
この度、BJ ELECTRIC社がMC用の昇圧トランスを作りまして、新製品としてひろくご案内しております。ぜひココを見てやってください。
この新製品をチェックしているのが上の写真なのです。オレンジ色の箱がBJ社のトランス。このチェックを経て『あーワタシはやっぱりトランス昇圧が好きだわー』と痛感しました。なんというか音が立体的。と言うことは陽も陰もクッキリってことです。下の写真にある音源を聴いて泣けてきました。
*まとめです。
レコードを聴いている方は、すでにカートリッジ、ヘッドアンプ、フォノイコライザーを使っているワケです。なのでトランス味を楽しむ方法は、ヘッドアンプで増幅をせず、トランスで昇圧されたシグナルをMMポジションのフォノイコで受けるだけ。実に簡単です。
せっかくアナログレコードを楽しんで聴いているのなら、こういう『何かやったら、やっぱり何か変わった!』という、ジンワリとニンマリできる事案にも挑んで頂きたい。そしてハッキリと言えるのは、トランスは沼です。同じ昇圧作業でも、トランス個体によって出てくる音色が全然違います。
ワタシはシガー(葉巻)やパイプ喫煙をするのですが、トランスっていうのはこの手のモノと同類の嗜好品なのかもしれません。
ではまた来週に。
2022.11.30