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スミコさん。(オーディオのお話)

前編でグチった『びーえむさんが動かなくなった日』、本当はこのカートリッジの試聴動画を撮影をするハズでした。

気になっていたのですよ、SUMIKO(スミコ)のアナログ・カートリッジが。輸入元さんからデモ機をお借りしたので聴いてみました。

イキナリ結論ですが、とっても良かったですよ。

今編とほぼ同じ内容の動画を撮りました。編集が終わりましたら改めてお知らせします。


*SUMIKOって、何処の国のメーカーなの?

アメリカのメーカーです。ですが、パッケージ表記にMade in Japanと。

ね、日本で作っていると。

どの段階まで日本で作っているのだろう?でもコレは生産国表記だから、完成形まで日本国内作業なのかもしれません。完成品がアメリカに納められ、そこから世界各国にデリバリーされているのかな?

2019年に発生した病のおかげで、工業製品の生産や物流に大きな変化が起こりました。そして為替レートまでもこんな状況なので『色々な舶来品の価格が爆高騰』という、悲しくも残念な現象が起こっています。オーディオ界においては、平民には理解不能なプライスタグがついている製品もあります。

最近SUMIKOも価格改定が行われたようですが、それでもまだ『コストパフォーマンスとして納得できる良品』だと確信することができました。せっかくデモ機をお借りしたので、精一杯レビューしてみます。



*お借りしたのはこの3機種。

ちょっと整理しますね。

輸入元のwebサイトによりますと、SUMIKOの現行品ラインナップはMM型が11機種、MC型が4機種。日本のマーケットにおいてはMM型の方が広く認知されているようです。

ワタシは自分のサイトとYahoo支店において『本当に納得できる良品だけ』を販売すべく、お客様にご案内をしておりますが、SUMIKOのラインナップを見ていたら俄然MC型に興味が湧いてきました。なのでこの3機種をお借りしたのです。

仕様違いのSongbirdの2モデルと
その上位に位置するStarlingという製品。

白と紫のパッケージには、どちらもSongbirdという品名が記されていますが、これは仕様の違いです。赤はStarlingといってSongbirdの上位機種。今回はお借りしませんでしたが、さらに上位に『Celebration 40』というフラッグシップモデルがあります。なのでMC型は合計4モデルがラインナップ。

①まずはSongbirdについて。

仕様違いの2モデルともにMC型のカートリッジですが、紫パッケージの方は『高出力』なタイプ。なのでMM型と同じ扱いでフォノイコライザーに接続できます。因みに出力電圧は2.5mV(1kHz)です。

白い方は通常のMC型。トランス昇圧かヘッドアンプによってシグナルを増幅をしてからフォノイコライザーに接続します。

両仕様とも製品のボディは同じ色です。とっても美しい青色。
発電方法が違うので、よーく見れば2モデル間に外観の相違点はありますが普通は区別できません。

カンチレバーが剥き出し。
うぉ、カッコいいな!
こういう図に弱いんだな男子は。

価格は共に¥143,000(税込)です。

安い!とは言えませんが、昨今の物価やこの製品がもたらすであろう愉悦指数からみれば良心的な価格設定だと思います。

さて、音色です。
(ワタシのレビュー根拠は後述します)

カンチレバーが剥き出しという大胆なデザインによるのかな?音が開放的です。スカスカという意味ではありません。そして日本生まれのアメリカ人らしい、明るめ(め、です)の性格とお見受けしました。

結構低域が出ます。ちょっとビックリしました。そしてその名の通りボーカルがよく歌います。ミドルレンジも分厚い。決してブヨブヨな体格ではありません。柔らかい筋肉を纏っているようなカンジ。

事前に想像していた通り両者の基本音色は同じベクトルですが、高出力タイプはちょっとマッタリです。ナローレンジに聴こえるかもしれません。MM型と同じ扱いという利便性を優先するなら高出力を。でもワタシなら低出力の通常MC型を選ぶかな。

②そしてStarlingです。

ぬぅぅぅ、コレは良いぞ。ヤバいの聴いちゃったな。

高級感ある黒色のボディ。

価格は¥289,300(税込)です。
Songbirdの倍額ですが、十分に納得できるパフォーマンス。凄く良い。

サスガは上位機種です。レコード盤からピックアップする情報量が圧倒的に多い。そしてワタシが大好きな『上質な普通』の音。ウェルバランス。

剥き出しなカンチレバーはボロン製で、針先の形状がマイクロリッジ。スペックとしても明らかにSongbirdの上位仕様になっていて、出力する音色は『ああ、やっぱりそうだよね』と納得できる品格。明るめの性格に高い知性が加わったカンジ。そして猛烈に開放感があって安定感も高い。どんなレコードをトレースしても破綻しないだろうなって容易に想像できます。

いいね、コレ!だいぶ欲しくなってきました。



*レビューの根拠。

オーディオとかクルマとかオートバイとか、いわゆる工業製品の特性判断って『いま所有・使用しているモノと比べてどう感じるか』という比較論になることが多いです。

自分が所有するモノだけではなく、多様な味を知った上でレビューの対象物をフラットに評価をするのがプロってモンですが、やっぱり自分の基準値というか拠り所ってあるのです。

不動の組み合わせ。
ウチの絶対王者です。
出動頻度が高い1軍たち。
コレ以外にもたくさんの2軍カートリッジが。。

THORENSとELACの組合せがワタシにとっての王様ですが、音色も使い勝手も少しクセがあります。好みにハマれば無敵ですが、誰もが賞賛する音色というものではないかもしれません。

ortofon SPU GTE。
ハイブリッドな3個イチみたいな個体ですが、
肝心なエンジン部は60年代のモノです。

1軍カートリッジの中でも、その安定感とポピュラリティから最も出動頻度が高いSPUのGTE。ドスが効いた親分みたいなカンジです。

こういう自前機器による基準値をもって、SUMIKOのカートリッジを評価しました。フラット志向を保ちましたが個人的な拠り所はココにあります。



*スミコさんはこんな方にオススメ。

レコード再生文化には長い歴史が伴います。よって再生装置にも往年銘機がたくさん存在していて、それらを大切に使ってらっしゃる方も多いと思います。ワタシもそうです。

SUMIKOはそんな方にこそ『現行品のカートリッジ』として使って頂きたいと思いました。こういう『いま風な極上の普通感と安定感と開放感』を味わえるカートリッジって、あんまりありません。

特にStarlingね。結構シビれちゃいました。もしワタシがStarlingを入手しちゃったとしたら、王様ELACは不動だとしても横にいる1軍親分のSPU GTEは地位が危うくなるかもしれない。

ワタシの不変なリファレンス音源、オジー・オズボーンさんはきっとSPUが良いけど、ジョン・メイヤーさんみたいな現代のポップロックはStarlingの方が気持ち良かった。重すぎず軽すぎず、美しくもキラキラしすぎず。でも音の情報量は大変に多い。そんな名品です。

さて、SUMIKOの販売準備を始めよっと。
あ、動画のレビューもお楽しみに。って同じことを喋っているけど。

今編が今年最後の投稿になります。みなさま、良いお年をお迎えください。

ではまた。
2023.12.27





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