ジャパンレッド満喫 そのイチ
旅行記続き、というかようやく本番。
始発で最寄り駅を出発し、大阪から岡山、備中高梁まで向かう。
一応早めに寝床についたものの、興奮で2時間くらいしか眠れなかった。始発出発の辛いところであるが、代わりにほぼ100%座席が確保できるのが良いところ。……うん? むしろだから眠れないんじゃ? アレアレ?
ともあれ、乗り換えはあれど結構まとまった時間乗車しているので細切れでも睡眠をとって英気を養おう。
しかし甘かった。
興奮でまったく眠れない。アドレナリンがドバドバである。結局一睡もしないまま、備中高梁駅にまでたどり着いてしまった。
道中で途中になっていた『功名が辻(二)』と小川洋子の短編集『海』を読めたので、結果オーライということにしておく。余談だがどうも青春18切符旅以降、自分の中で電車旅行=司馬遼太郎の等式が成り立ちつつある。単語や歴史は難しいが、不思議と読みやすいし旅先に関連する描写が出てくると嬉しくなる。
旅のお供に司馬遼太郎。なかなか贅沢である。
備中高梁駅は岡山と出雲間を走る特急やくもや東京からの寝台列車サンライズ出雲などが停車する大きい駅で、観光案内はもちろんスタバやTSUTAYA、図書館も併設されている。
電車が到着してから吹屋行バスの出発時間まで1時間弱あったので図書館を覗いてみたのだが、驚いた。
ソックリやないかい……!!!
どちらもカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が経営する通称「TSUTAYA図書館」なのである。
ソックリで当然。
当然なのだが、初めて和歌山市民図書館に行った時は「オシャレだなー、和歌山も頑張ったなー」と自治体を褒めたい気分だったのだ。どっこい、ただのチェーン店(みたいなもん)ではないか。
そっか、全国にあるんだ、和歌山だけじゃないんだ……。
出身地ではないけれどお隣で親しみを持っていたし感心していた分、唯一でもなんでもないと知って非常にガッカリしてしまった。
まぁ、ね。
和歌山や高梁市が元気になるならなんでも良いけど、ね。
ショックを受けながらも切り替えてバス乗車。
雨の土曜日ということもあってか乗客は数えるほどしかおらず、途中停車もほぼなし。最終停車駅・吹屋まで1時間ほどノンストップ。最初は町中を走るが、途中からグネグネ山道を行くので酔い止めは必須。
それでも若干気分が悪くなるので、バスに対する苦手意識は強い。どうせ最終で寝過ごす心配もないのだ、寝ちまえ!
とうちゃこ〜〜〜!!
バス停にはRさんが迎えに来てくれて、小雨の降る吹屋を案内してもらった。前回倉敷を訪れたときも結構な雨天だったと思い出す。ハレの国、岡山とはあんまり相性が良くないのかも(笑
時期的にはシーズン中とのことなのだがその日は何故か全然人がおらず、珍しいジャパンレッドを独占することが出来た。
吹屋は古くは戦国時代から銅を採掘し、江戸後期から昭和初期まではベンガラ産地として栄えた。ベンガラは土から取れる成分(酸化鉄)で、陶器や漆器はもちろん、防腐機能性の高さから広く使われている。経年変化に強く、日光による褪色がないことも特徴だとか。めちゃ有用じゃん。
目に鮮やかでありながら優しく、品があって唯一無二性が強い。
吹屋の建物の瓦屋根も美しい朱だが、島根を発祥地とする石州瓦でありベンガラが練り込まれているわけではない。が、わざわざ島根から吹屋に職人を呼んで焼かせたものらしい。
石州瓦の耐寒性などを考えてかもしれないけれど、「朱に染めたるねん!」という当時の住人の意気込みを感じる(笑
昼食は人気店、cafe燈(あかり)にて、地元野菜を主にしたランチ。
NHKの番組にも取り上げられたことがある人気店。
普段はとても混雑するそうで、すんなり入店・店員さんたちとの会話に恵まれたというのであれば、雨もありがたい限りか。
昼食の後はまた町をそぞろ歩く。
2012年に閉校するまで、現役最古の木造校舎であった吹屋小学校。
綺麗に整備され、中はイベントや展示に使われる。
吹屋の町は小さい。一番のメイン(吹屋小学校や郷土館)は徒歩であっという間に回れてしまう。
もちろん中の展示を事細かに眺めるとなれば時間は全然足りないだろうが、自分のようなニワカ観光客は半日あれば十分満喫できるだろう(車があれば尚良し)
案内人・Rさんのおかげで一応の見どころは網羅できたので、Rさんが現在借りている市営住宅(民家)で休憩させてもらう。スヤスヤお昼寝タイム。
折角の旅行なんだからもっと歩き回りなよ! 勿体ない!!
と思われるかもしれない。
しかしこの休憩は必要不可欠なのである。
何故ならば今回の旅の真の目的は…………
長くなったので続く!!