浸かって良し、飲んで良し、吸って良し!?三たび朝を迎えて完璧 ~三朝温泉~
日本一の砂場で予想以上の鍛錬をこなした後、因幡の白兎伝説のある白兎海岸など海沿いの道を車で1時間ほど走って向かった宿泊先は、開湯850年以上という三朝温泉。
今回は一応記念日なので、キヨブタで友人のオススメである超高級宿(個人感)『旅館大橋』を予約した。
しばらく清貧に暮らそうと思う。
砂漠の疲れを取るべく、早速ひとっ風呂浴びることに。
三朝温泉は高濃度のラドン含有量が有名らしいが、この大橋は三朝において唯一ラドン泉の他にトリウム泉をもつ。
温泉はこの巌窟の湯と露天風呂、せせらぎの湯があり、時間帯で女湯男湯が入れ替わる。
この巌窟の湯、お湯は透明なのだが湯の成分のためか、湯船の石が真っ黒になっていて驚いた。また湯船の底が平らではなくゴツゴツして岩そのもの。深いところ浅いところがあるので要注意。間違ってもほろ酔いなどで入ってはいけない。
露天風呂の方は夜に入ったが、日が沈むとまだ気温がかなり低くなることもあって熱すぎず温すぎず、適温で長風呂できる良質な温泉であった。
温泉から出てから夕食まで時間もあり、陽も高いので周辺を散策。
歴史の古い温泉街である三朝温泉。
聞くところによると。周囲の山で修行をした修験者たちが疲れを癒やしに来るための温泉であったらしい。つい先日訪れた鬼怒川温泉とは随分と趣が違う。鄙びた、というよりは昭和の良い時代がそのまま継続しているような、穏やかで優しい雰囲気が漂っている。
浴衣姿でカラコロと下駄を鳴らし歩いていると地元民からちょいちょい話しかけられる。結構、人懐こい印象。
ここで偶然出会った地元ボランティアガイドの女性が親切に色々と教えてくれた。
六根清浄、六感治癒、そしてタイトルの『浸かって良し、飲んで良し、吸って良し』というのが三朝温泉のキャッチコピー。
「浸かる」と「飲む」はわかるけど「吸う」って……? と思われた方も多いと思う。自分も今回始めて聞いたのだが、吸うのはズバリ温泉の湯気、熱気浴のことを指すらしい。
へぇーへぇーへぇー。
起源となる『白狼伝説』なども興味深い。
旅館大橋とはまた別の有形文化財、木屋旅館の経営する喫茶店「茶房 木木」とその一角「カムパネルラの館」。
経営者の親類・河本緑石(かわもとりょくせき)という人物が作家・宮沢賢治と盛岡高等農林学校で交友があったらしい。賢治と同じく教員を氏ていた彼は若くして海で溺れた知人を助けて溺死してしまう。つまり、あの有名な『銀河鉄道の夜』のカムパネルラは彼をモデルとしたのでは、といわれているのだ。中には賢治との写真が飾られていたり。
なんで花巻と遠く離れたこの地で宮沢賢治? と首を傾げていたのだが、なるほど納得。
温泉街はそう広い訳ではないが、色々と面白いものがたくさんあった。
また別の人が教えてくれたことには、2023年8月には台風・豪雨で三徳川が増水し、一年で一番のかきいれ時にかなりの被害を受けたらしい。宿泊した旅館大橋もまた露天風呂の一部が浸水して、今年の1月に改修工事が終わったばかりだという。
恥ずかしながら全く知らなかった。周囲はどこも綺麗に整備されており、そんなに大きな被害があったようにはとても見えなかったことも一因だろう。
強いな、三朝温泉。
旅館に戻るとちょうどよい時間。
流石のお夕食に舌鼓を打ち、飲み、満腹で再度温泉に浸かった後はすぐに就寝。
昼間の砂漠行脚がなかなかにエラかったな〜〜。
などと言いながら、明日は明日でまたビッグイベントが待ち構えているのである。待て、次号!!