インボイスとか印紙税とかって、さぁ……
※割と長めで真面目かもしれないお話※
買い物をして、ふと手元にあるレシートを見ればそこには『事業者登録番号』
ああ、そう言えばもうインボイス制度が導入されて1ヶ月が経ったのだ。
企業において経理担当者が忙しいのは月末月初だと大体相場が決まっている。月末には給与や各仕入先への支払処理がまとめて行われ、月初には自社の前月取引の入力処理が行われる。
つまり、経理担当者は今まさにインボイス制度による『真の』洗礼を受けているのであろう。
色々経過措置はあるし、経理ソフトも優秀だし、慣れればなんということはないのかもしれない。今はAI君という頼もしい相棒も色んな場面で育っていることだし。
しかしそれは、そうした設備投資に余裕のある会社の場合だろう。
そんな余力を持たない多くの中小企業や個人事業主はこの面倒臭さ、ややこしさとどう向き合っているのだろうか。更にそれらを記帳代行したり監査する税理士たちの苦労、いかほどにや。
昔、同じ部署の人は「印紙税は一番分かりやすい悪税ですよ」と言って憚らなかった。
リフォーム契約や、高額なものを購入した際の領収書に貼る切手のようなアレ。印紙が必要とされる契約書等の種類は、実に20種類にも及ぶ。多すぎやろ。
流石に人生において20種類全てに関わる人は少ないと思うが、領収書や売買契約書、委託契約書などは耳にする機会も多い。そして必要な印紙は最低200円から契約金額によって400円、600円……と高額になっていく。ムムム。(ちなみに最高金額は60万円也)
例えば人生で一番高額な買い物、家。建てるところからとなれば施工会社との工事請負契約書が必要になる。諸々すっ飛ばして、4千万円の家を建てる契約をしたとする。となると必要な印紙は2万円である。
そりゃ4千万円の買い物と比べれば、2万円など端金かもしれない。しかしながらその2万円で手元に残るのは紙ペラなのだ。
紙ペラに2万円!!
如何な重要な契約書とは言え……。
別に印紙を貼ってあるからと言って、国税庁がその契約書の効力を100%保証してくれるだとか、そんな特典はないのだ。
その一方で貼り忘れが発覚すれば、それは納付漏れであり期間によっては過怠税がついてしまう。ハァー⤴⤴??
一時期、税務署による税務調査ではこの印紙の貼り忘れが狙い撃ちされている、という噂を聞いた。
企業に山と積まれているであろう契約書や領収書を事細かに調べてあげては印紙の貼り忘れを指摘し、過怠税を巻き上げる……とかなんとか? しらんけど??
そりゃ悪法と言われるのも無理ならぬ。
マァしかしこの印紙税も、ペーパーレス化が進む現在、急激に存在感を失いつつあるらしい。
というのもペーパーレスであれば紙の領収書も契約書もでない、電子契約となる。電子契約となればもはやそれは「紙の文書」ではない!つまりは「課税文書」ではないのであーるッ!!
グワッハッハッ! 印紙税、ここに破れたり!!
……などとここまで一方的に印紙税を悪し様に罵ったのだが、残念ながらこれは日本独自の悪法というわけでもない。
印紙税自体の歴史は古く、1624年オランダで導入され、ヨーロッパ各国においてメジャーな税法である。反面、アメリカにはない。イギリスからの独立の過程でメチャ揉めたかららしい。
しかし歴史があるから、広く施行されているから、と言っていつまで経ってもそのままでいい理由にはなるまい。
電子契約書が良い例だろう。これを駆使する企業は年間数十万円を節税し、対応できない人は今まで通り納めるしかない。
課税の公平性、どこいった?
その時代の生活に即した形を考え、修正するという努力を指導者たる側が怠っていては、国民に一方的な負担を強いていると非難されても仕方がないのではないだろうか。
消費税の増税だとか、副業の所得を事業所得と認めないだとか、インボイス制度だとかサァ……。
やることなすこと、今それ必要?感が拭えないのだ。
出来れば多くが納得できる形への対応を、努力してほしいのだ。
頼むで、ホンマ。