のっけから悲喜こもごも旅 ~那須ドス!~
昨年の同時期、鹿児島旅行に行った友人と今年ものんびり旅に出た。
4泊5日、普段の弾丸旅を思えば少し長め、初めての栃木旅。
友人の慰労を兼ねてのんびり、と言いながら結構な移動もあり、予想外の展開あり、手際の悪さもあり(……)慌ただしいところもあって終わってみればてんこ盛り。
長くなりそうですが、どうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
初日 大阪→那須
世間はぼちぼち春休みで、駅もそこそこの混雑具合。まずは東京へ向かう新幹線内で友人と合流。東京についたら東北新幹線『やまびこ』に乗り換え、那須へ向かう。
実は初めての東北新幹線。やや手間取る。
切符は事前購入していたものの、大阪からだと販売元が異なるため(JR西日本と東日本)一括購入が出来ない。イタシカタナシなれどメンドクセ!
東京駅から大体1時間、那須塩原駅に到着。
……寒! 予想してたけどやっぱ寒い!
遠くの山に白いものが見える。さすがは東北新幹線だぜ?
駅からは路線バスに乗り換え、道の駅友愛の森へ。
なだらかに標高が上がっていくとともに周囲に木々が多くなり、山に入っていくなぁ〜と実感する。
その道の駅まで宿に迎えに来てもらい、チェックインして荷物を預ける。
朝早く出発したがすでに15時。早くも思えば遠くへ来たもんだ、の心境に。
とはいえ普段の強行旅と違って余力があるというか、同行者がいる旅は良い意味でも悪い意味でも緊張と安心が併存している。
チェックイン後は早速目的地の田川啓二美術館へ向かう。徒歩10分弱。
2023年4月にオープンしたばかりのこの美術館は、黒柳徹子の豪華なお衣装の数々を生み出してきたデザイナー・田川啓二氏の作品が展示されている。長寿番組『徹子の部屋』のファンである友人が是非にと希望してきた今回の第一目的地。
なのだが。
3/18〜4/4まで展示替えのため休館って、嘘だろ……これのために那須に来たんだが……???
調べが甘かったのはどうしようもないが、はるばるここまで来てまさかの休館……。締め切られた入口で立ち尽くす友人。気の毒以外の言葉がない。
残念だが、文句を言っても嘆いていてもどうしようもない。気を取り直して行ける場所へ向かう。
が、なんせ足がない。
周遊バスがあるからと甘く見ていたがレンタカーを借りるべきであったか、とやや後悔しながらもすぐ隣に建つ那須ステンドグラス美術館へ。
イギリス、コッツウォルズ地方と那須高原の類似性を活かし、資材にもこだわって建てられた石造りの館のなかに沢山のステンドグラス作品がずらり。
礼拝堂が二つあり、閉館間際だったがパイプ・オルガンの演奏も運良く聞くことが出来た。
じっくり観て回って、外に出れば17時過ぎ。ぼちぼち暗く、そして気温も下がりつつある周囲。
宿は素泊まり予定であったので徒歩圏内の飲食店で夕食をとったのだが、これもまた難儀。高原は街灯が少ない上に、道路も広くはない。夜道は危険である。そんで寒い。
やっぱりレンタカー、っていうか夏に来るべきだったな……。
※宿の人に聞いたが、夏は夏で車が溢れかえってひどい渋滞らしい。人気観光地の宿命か。
本日のお宿はモンゴリアンビレッジ・テンゲル。
那須の一画に突然登場するモンゴル直輸入(らしい)ゲル。
直前になって「もうここでいっか!」なノリで決めたお得な宿だったのだが、これがまた予想外に面白い体験であった。
なんせ、ゲルだもの。
モンゴルに行くでもなければゲルに寝泊まりするなんて体験、まず出来まい。もちろん厳密に言えば実際のものとは違うだろうが、とにかく普通の宿やホテルとの違いは多く興味深かった。
来てから知ったのだがこの宿ではほぼ毎日、夜にモンゴルの民族音楽、馬頭琴とホーミー(高音と低音を同時に発声させる歌唱法)の生演奏を聞くことが出来る!
幸運なことにその日は演者が二人のゴージャスな演奏会であった。
初めて聞く生のホーミーは実に不思議で、なんと表現すべきか悩む。〇〇のような、という言葉で表現するのが難しい。一番近しいのは輪ゴムを思いっきり弾いたビヨヨ〜ンという音、だろうか。不思議で懐かしい、とても味わい深い音楽だった。
馬頭琴は竿の先端部分が馬の頭の形をしている弦楽器。絵本『スーホの白い馬』でよく知られている。撥弦楽器の三味線と弦楽器のバイオリンを掛け合わしたような印象。これで表現される馬のいななきは非常にリアル。機会があればぜひ聞いてみて欲しい。
やはり予想していなかった体験というものは、非常に新鮮で良い。
移動中心の一日だったが、やはりそれなりに疲労はしていたらしい。演奏後、部屋に戻ってすぐさま沈没。
翌日も那須旅は、続く!!