自立するって何だろう
毎週日曜日、大河ドラマと同様に楽しみにしているテレビ番組がある。「ザ・ノンフィクション」。毎回、試練に立ち向かいながら生きる人びとの姿を描いているドキュメンタリーなのだが、今回は、母子二人で営む定食屋の話。
https://www.fujitv.co.jp/thenonfx/_basic/backnumber/index-113.html
いじめをきっかけに不登校になり、その後発達障害の疑いがあると診断を受けた息子さんと、彼の好きな料理で自立してほしいと願い、助ける母が二人三脚で切り盛りする定食屋なのだが、コロナ禍のあおりを受けて財政は火の車状態。
原因はコロナだけではない。息子さんが豊洲市場で高級食材を仕入れるほどのこだわりようで、コストパフォーマンスのバランスの悪さも災いしている。打開の切り札となるはずの弁当も売れない。
売り込もうにも彼はコミュニケーションが苦手なため接客ができない。診断には、アスペルガー症候群となっていたが、これは間違いなくASD(自閉スペクトラム症)の特性がでてしまっている。ASDは、元来対人的な仕事や気配りが必要な仕事が苦手であり、当然接客は無理だし、ましてや商いとなると、とても厳しい。
息子さんに辛い思いをさせたという自責の念から料理で自立させてあげたいという母親の気持ちはわかるのだが、「息子さんを何としてでも一人前にしたい」という思いが先走っているような印象をおぼえた。先ずは発達障害についてくまなく調べた上で、家族だけでなく第三者によるサポートを受け入れるべきだったんじゃないかな。
と、批判めいたことを書いてしまったが、せっかく好きなことを見つけた息子さんの可能性をつぶさないためにも、「自立する」とはなにかについて、立ち止まって考えて欲しいなとテレビを観ていて思った。
かくいう私も実は、喫茶店をやりたいと思い、製菓学校のパンフレットを取り寄せたり、メニュー考案のヒントになる本を取り寄せるくらい本気で考えた時期があったのだ。しかし、マルチタスクをこなさないといけないし、気配りしないといけないし、二次障害のうつや疲れやすさは相変わらずある。これらをクリアしないとできないということがわかり、泣く泣く諦めた。
今でも、「自立したい」と思っているのだが、自立するってどういうことなのかが答えが出そうで出てこない。働けるのか。親がいなくても一人で暮らしていけるのか。前々から不安だらけだ。行政などの周りからのサポートやサービスがあれば、なんとか暮らしていけそうではあるのだが。
障害を抱える者にとっては、やはり助けてくれる家族以外の頼れる存在が必要なのだ。自立は、一人だけでするものではない。周りから支えられながらの自立も悪くないと思う。
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