明日の色はあたしが

あたしがキメる。明日のデートは。それで、向こうから告らせる。女としてはコレがスタンダードってなものだ。誘い込むの。

人魚姫だって、カワイコぶって清楚にしているのに、肉食に違いない。自分から王子を助けておうじに押しかけるのだ。プロ野球選手と結婚しちゃうアナウンサー女みたいな感じするではないか。

それでいて、失恋したら、お姫様ぶって哀れな可愛そうなアタシ……って。
バカな話。だまされる連中がバカ。

人魚の肉は不老不死って、それは単に人魚とかいう、美女に付加価値つけて追っかけたり憧れたりするのにふさわしい理由を後付したんじゃない?

あたしは、そういうの、いらないから。
あたしの身一つでキメてやるから。

姉さんが言った。苦笑して。

「アンタはさ、まだ若いからそういう強気な態度ができんのよ。どうかなぁ、もっといろんな配慮もてたほうがモテるよ?」

離婚して出戻りした姉さんの言うこと、どうして、あたしが鵜呑みにできんのさ?

ただ、でも姉さんは人魚姫ごっこをしたり、メソメソしたり、泣き言を言ったりしない。母さんの代わりに家事を引き受けて、今やこの家の主婦は姉さんだ。

……正直、カッコイイと思う。
女として。

でも、このカッコよさ、男には、わかんねんだよ。本当はあたしは男はそんなに好きじゃない。金持ちが好きなだけ。

でも、あたしが。
あたしが、金持ちにキメさせれば、きっと皆、もっといい暮らしができる。

だから、少女はゴテゴテしてハデにも清楚にも、男のおもちゃにもなるってわけ。

行ってくるわ、デート!
告らせてみせる。



END.

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海老かに湯
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