機械翻訳の限界? 勝手にフォロワーさんの英文を添削(1)
【無料で英語の質問ができるリンク】
初めてのフォロワー
昨日、初めてこのアカウントにフォロワーが付きました。嬉しいことです。
この方は「英語ペラペラ」を目指し、毎日英作文の練習に励んでいます。尊敬に値する方です。
しかし、英文にはちょっと指摘したいポイントがあるのも事実です。
そこで、今回はこの方の英文をちょっとお直ししたいと思います。
こういった記事がこの方のみならず、他の学習者様のお役に立てることを祈っております。
それではみていきましょう。
Senten Sentenceって何?
今回指摘を入れる学習者のnote記事はこちらになります。
この方は、Senten Sentenceというサービスを使い、日常的に英語を書く練習をしています。
見たところ、日本語で簡単な質問が与えられるのでそれにまず日本語で解答し、それを英語に直し、どれぐらい正確に翻訳できたかを機械翻訳で確かめるというアプリになっています。
今回の文章
そして91回目(回数からその努力が見えます!)の質問はこの通り。
「好きな食べ物はなんですか?」
非常にシンプルな質問ですが、良く工夫した内容に富んだ回答をしています。
「once a week」「that I often go」などの表現を誤りなく使用できており、目立った文法ミスもありません。
ところが、自然さという観点で見るといまひとつです。添削をしていきます。
GyudonのGが大文字なのはなぜ?
「そういうもんなんだっけ」と一瞬思いましたが、やはり違います。
Gyudonについて取り上げた英語のサイトを見てみます。文の意味は関係ないので訳しません。
注:原文が斜体のところは*で囲ってあります。太字は解説のために勝手に施しました。
このように、gyudonは先頭を大文字にしません。
なぜかといえば、gyudonは固有名詞(Google, Sukiyaなど)ではないからです。ramen, tempura, udonのようにgyudonも普通小文字で表記します。
原文でgyudonやunadonが斜体になっているのは、読みやすくするためです。英単語と外国語の単語を全く同じ見た目で併記するとパッと見た時に混乱してしまいます。ですので、特徴的な外国語や強調したい部分は斜体にする傾向があります。
中学校や高校の英語の教科書を見ても同じルールで書かれています。
第二パラグラフがちょっと読みにくい?
再度引用します。
注:太字は勝手に施しました。
この文は、この様になっています。
これに対して、私ならこう書くということを書いてみたいと思います。
1.私ならthatは省略します。なくても十分通じるし、短くて楽だからです。そのほうが自然だと思います。
2.私なら、これが会話であれば単に「I often go to Matsuya,」と言います。シンプルだからです。
難しく言おうとして詰まってはコミュニケーションが遅れます。
3.この文には一つ欠けている単語があります。シンプルな文に戻して考えてみましょう。
「I often go to Matsuya.」となるわけですが、toが抜け落ちてしまっています。これはまずいです。
Theがない
gyudonやkimichidonについてはaをつけなくてもいいというのは先程引用した例文から明らかです。しかし、shopはダメです。
では「A shop」か「The shop」のどちらで始めるかという問題が生まれます。
この場合、「I often go」ということでどのレストランかを明示していますから、「The shop」が適切だといえます。
shopとrestaurantの違いを見逃している
shopは「ものを買って帰る場所」のことです。つまりお持ち帰りが前提のようなイメージを勝手に入れてしまっています。
しかし、日本語では「店」という言葉がshopとrestaurantを内包しています。「ラーメン店」「お土産を売っているお店」の二つを挙げれば十分お分かりだと思います。
restaurantの意味はもちろんお分かりだと思います。しかも、元の文章では「食べに行きます」ですから、中で食べて帰ることをイメージしています。shopは不適格です。
ただ、英語の引用文の中に「Three large chain stores:」となっている部分があります。ここではまだ「Matsuya」や「Sukiya」について何も具体的な説明をしていないので許容されるのだと思いますが、辞書的な意味にはそぐわない表現です。皆さんの意見をコメントでお聞きできればと思います。
「at lunch」はOKかNGか
「at」のあとに単語をつづけて時間を表したい場合は、普通は以下のように言います。
At five
At noon
At lunchtime
Atのコアイメージは点です。(このことについては後日解説します)
ですので、「幅のある時間」ではなく「タイムライン上で点とみなせるぐらいの時間」になります。
ところで、lunchは時間ですらありません。
しかし、「at lunch」で検索をかけてみればわかるように、複数のサイトが正しい表現として扱っています。例文を見てみましょう。
At lunchやat lunchtimeと表現すれば、「お昼ご飯の時間に」という時間が出てくると考えて差し支えないと思います。
しかしよく見れば「時間」が主眼になっていることがわかります。
訳も「お昼中に」とあります。
というわけで、「お昼ご飯として」ということを主軸にしたいのであれば、「for lunch」が適切だと思います。
ちなみに、Forは『英熟語図鑑』によれば「方向・目標」を表します。
「一番好き」が抜け落ちている
「my favorite Gyudon shop is Sukiya.」と翻訳してありますが、「一番好き」が抜け落ちています。
もちろん、これでも問題なく通用するので大した問題ではありません。
ついでに言えば、「牛丼屋の話をしていること」はその前の文で明らかですから(まさかここからいきなりラーメン屋の話をするわけありませんよね)、もう一度敢えて「my favorite Gyudon shop is」とまでいう必要はないように思います。
模範解答通り「I like Sukiya the best.」または「my favorite is」でいいと思います。
終わりに
というわけで英文を添削していきました。
もっと自然に、そして早く英文が書ける人が1人でも増えてくれれば嬉しい限りです。
今回はnoteから添削しましたが、面白いネタがあればまたやるかもしれません。
それではまた次回お会いしましょう。
参考文献
清水建二、すずきひろし、本間昭文(2020)『英熟語図鑑』 かんき出版
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