人類が地球外の文明を見つけられない理由ーーフェルミのパラドックスと6つの仮説

Big Thinkの動画Why haven’t we found aliens? (Brian Cox)を見た。

フェルミのパラドックスーー私たちの宇宙は広くて古いが、なぜ地球以外に文明は存在しないのか?ーーへの6つの仮説を概説している。

①地球希少仮説:隕石や超新星爆発など危険な宇宙にあって、生命が細胞から文明に進化するのに十分に長い時間、安定してた地球はユニークであり、宇宙広しといえども、めったにない。

②消滅した文明仮説:文明は勃興し、滅亡している。宇宙の時間規模が大きいため、2つの文明が重なり合うことがない。

③技術的特異点仮説:すでにエイリアンは地球に来ているが、人類の技術を超えた技術をもっているので、人類にはエイリアンを認識できていない。

④広大な宇宙仮説:宇宙はとにかく広大である。宇宙の反対側に文明があったとしても、電波は弱くなっていくし、宇宙を横断する宇宙船も作れない。

⑤宇宙隔離説(暗黒森林説):技術的に十分に進歩した文明は、道徳的にも十分進歩しているので、自分たちよりも技術的に劣った他の文明には接触しようとしない。

⑥グレートフィルター仮説:私たちが宇宙に進出するのを妨げるフィルターが、どこかにある。科学や技術の中にはない。例えば、核兵器や人工知能といった強力な技術を人間がうまく使いこなせない(政治的な失敗)。人類史を見ても、核戦争の危機は何度もあった(わかっているだけで)。人類が宇宙に出ていくには、このフィルターをクリアする必要がある。

で、私が考える仮説:惑星に誕生した文明が地球外に出るには、技術的な進歩が必要である。技術的な進歩は知性をネットワーク化することで、達成できる(ジョセフ・ヘンリック)。しかし、テクノロジーの進歩は必然的に環境負荷を増大させる。技術によって効率が上がっても、それ以上に使用量が増えるため、トータルで環境負荷は増える。テクノロジーの問題はより良いテクノロジーでは解決できない(イノベーションのパラドックス)。惑星外に出るテクノロジーを完成させるのが先か、惑星資源を使い尽くすのが先か、という競争になる。進歩したテクノロジーは、膨大なインフラによって支えられているが、そのインフラは天然資源に依存しているので、天然資源の枯渇・汚染は、インフラを破壊し、テクノロジーを根本から崩す。惑星外に出るのに十分なテクノロジーを進歩させる前に、環境負荷が文明を潰すのではないか。テクノロジーが失われても、すぐには文明は滅びないが、惑星外に出ることはできない。宇宙のどこかに地球外の文明はあるかもしれないが、人類と出会うことはできないのだろう。(時間的、距離的に会える場所にあったとしても)

文明が崩壊するとどんな世界になるかは「災害ディストピア」で素描した(販促)。


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