逆差別は成立しない――森川美生・大森一輝『「もう差別なんてない」と思っているあなたへ』(小鳥遊書房)
もう差別なんてない、のだろうか? それは単に見えていないだけではないか? と本書は問う。差別とは構造的な問題で、構造が温存されている限り、たとえ個人個人が差別行為をしていなくても、制度への「加担」はしていることになる。「なんでもよい」「誰でもよい」「好きにやればよい」と言いながら、新しい提案を否定し旧来のやり方を踏襲するのは、現状維持=制度の温存をしたほうが都合が良い人がいるから。筆者は差別の構造を山に例える。上から下を見るのと、下から上を見るのとは景色が違う。「こうしてほし