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海老原いすみ
2019年8月1日 22:41
「ピンポーン。ーーー」ああ、まただ。またチャイムが鳴った。僕は覗き穴を見る勇気がなかったし、居留守がバレるのもなんだか怖くて、チャイムが鳴るたびに息を止めていた。「小谷ぃ。みんな心配してるぞ! 早く学校来いよな! 待ってるからな!」ケンちゃんはほぼ毎日、僕の家のチャイムを鳴らして帰っていく。心なしか足音が増えているような気もする。もしかしたら、他に誰かいるのかもしれない。僕は学校へ行けな