立ち飲み屋からの社会改革1
2016年9月4日
北九州で、ドキュメンタリー映画「風は生きよという」の上映会が企画され、トークにお呼ばれしてきました。
良かったのは、映画出演者のトークだけではなく、九州で活動する呼吸器仲間にも前に出てもらい、一緒にトークできたこと。
「障害者は社会にいらない」という社会からの圧力を覆すためには、障害者自身が積極的に外に出て、自らの声で訴えていく必要がある、ということを、北九州、周辺の仲間と共有でき、うれしかったです。
仲間が広がるって、ステキ☆
上映会終了後、なにしよ?どこいこ?
と思って、いろいろ検索していました。
現地の人達からは、門司港レトロがいいんじゃないか、という情報でしたが、
検索中に目についたのは「角打」。
をぉ...これは...。
去年、大分上映会の際に、博多から駆けつけてくれた高校の先輩から聞いた、アレではないか!( ゚д゚)
福岡と言えば角打。
酒屋さんの一角で、ちょいおつまみの、ちょい立飲みの、アレか!!
と言っても、女子ひとりでいきなり角打つってどうよ...。
隣には、一緒にトークお呼ばれし、北海道の北見市から人工呼吸器引っ下げて来ていた渡部さんが。
...渡部さーん☆一緒に角打いこーよーw
「行きますかー!!今日も浴びるぞーw」
ということで、心強いお酒のお供げっとw
わっしょい小倉駅近くに繰り出したのは、「平尾酒店」
メディアでも紹介されたことがあるそうです。
写真でもお分かりの通り、本当に、街角裏路地にある、小さな町の酒屋さん。
でも、中にはゴチャッとしたテーブルとカウンター。
平日はお仕事帰りのサラリーマンでパンパンだそうですが、土曜日は比較的ゆったりとした雰囲気。
それでも、17:30過ぎに、数人のおっちゃん達が。
車いす2人含め、6人。入れるかなぁ...
っていうか、入れてくれるかなぁ...?
と、ちょっと不安な一見さん気分で入ってみる。
すると、お店のおじちゃん、おばちゃん、一瞬ギョッとしたものの、
「どうぞどうぞ、入れるかしら?」と。
そして、テーブルに座っていたおっちゃん達が、
「あ、俺ら、向こうのカウンターに行ったら入れるやろ!」と、
すすーっと席を譲ってくれたんです!
お店のおばちゃん、多少戸惑いつつも、
「どこから来たの?お飲み物はどうします?
お豆腐出しましょうねぇ。」と、対応してくれる。
「映画の上映会があって、北海道と東京から来たんです。」
「まぁ、そんなに遠くから、映画を見に来たの!?」
「いや、私たちが作って、出演もしてて、今日は舞台挨拶に」
「え?出演?俳優さんと女優さんということかしら!?」
「えーと...wドキュメンタリーなんです笑
お母さん、呼吸器の人、見たことあります?
このお店に来たこと、あります?」
「ないわねぇ、初めてだわ〜。」
やったw
平尾酒店、第一号の呼吸器ユーザーお客!
「呼吸器使ってる人も、普通に街で生活できるよ、っていうことを、伝える映画作って、上映活動してるんです。」
「へぇー...そうなのぉー。すごいわねぇ、北海道から...
あ、お豆腐、お醤油とね、お酢をかけて食べるのよ、ほら、こうやってね。
あなた達、おサジがあった方が食べやすいかしら。
はい、黒白波のお湯割はどなた?
あら、あなた!?お酒召し上がるのね?大丈夫?」
こんな感じで、もう、いたってスムーズに溶け込みました笑
棚には乾き物や缶詰が山と積まれ、その中から自分でつまみを選びながら、チビチビと呑む、その雰囲気。
壁にぶら下がってたごぼう天の乾き物ポリポリしつつ、熱々に温めてもらった焼き鳥の缶詰と、熱々に温めてもらった秋刀魚の蒲焼缶詰にはマヨ七味で、しっぽり飲んでいたところに、ご近所のご夫婦登場。
ご夫婦、かなりギョッとしつつ、奥さんなんて、私と渡部さんの顔をしげしげ覗き込むようにして、奥に入り、相席へ。
お店のおばちゃん、
「今日は、北海道と東京から見えてるんですって。」
とつないでくれる。
遠慮がちに、介助者にこっそり声をかけるご夫婦。
介助者は、渡部さんに伝え、渡部さんが口文字で答える様子に、また目を丸くして、唖然とするご夫婦。
実は奥さん、看護師をされていて、渡部さんを見るや、すぐに気管切開していること、吸引が必要であろうこと、声が出ないことを察知。
そんな渡部さんが、赤い顔して黒白波のお湯割飲んでるのを見て、思わず、
「お医者様の許可はもらっているの?」
と、素朴な質問。
それに爆笑の私たち。
「オレ、医者にタバコの吸い方まで教えてもらいましたw」
と渡部さんが応対すると、言葉を失うw
「北見からです。先日の台風で、玉ねぎ全滅したとこw」
と渡部さんが自己紹介すると、
「おお、私、玉ねぎのネットを作ってる会社でね、私たちも、大打撃でしたよ!」
と、お父さん、まさかの玉ねぎつながりで打ち解けはじめ、私たちの上映活動、自立支援活動なんかを話していくうちに、すっかり一緒に楽しくなっちゃって。閉店の21時まで、大いに盛り上がって、さて、帰るか...お勘定...と思ったら、
「今日のご縁に、奢らせてください!
その代わり、連れて行きたい常連の店があるので、もう一杯、行きましょう!」と、
予想外の展開に(笑)
なんだ、これ!どんな展開?ちょっと、おもしろくなってきたぞ!
渡部さんの顔を見ると、「えびちゃん、時間大丈夫?(´・_・`)」
「大丈夫ですよ。ここは、のっておかないとでしょ!」
「行きますか!(≧∇≦)」
その、池田さんご夫婦に連れられて、夜の小倉の裏通りをずんずん進み、辿り着いたのは「小次郎」という小さな居酒屋さん。
入口も狭く、壺をどかしながらガタピシ車いすをねじ込みながら入店。
ママ「あらあら、この椅子、一個どかせばいいのかしら?」
池田さん「まだじゃんじゃんくるからw」
ママ「じゃんじゃんって...お店の大きさにも限界があるわよ!」
池田さん「大丈夫、大丈夫、詰めれば入るって!
この椅子も、どかしちゃって、ほら!」
かなりのぎゅーぎゅー具合に押し入った私たちを見て、たいして驚かないママ。
「よしおちゃんが連れてくる人たちなんだから、なんか、ここに連れて来たかった訳があるんでしょw
で、あなた達、何飲むの?.....あ、氷がないわ!
よしおちゃん!ちょっと、そこのコンビニで買ってきてくれる!?」
と、お客を買い物に走らせるママw
そこから、よしおちゃんが、私たちと出会った感動をひとしきりママに伝える。
「毎週あの平尾さんには行くわけでしょ。
でも、今日は、お店に入ったら、全然違う雰囲気だったわけ。
だって、平尾さんに、こんな人たち、いたことないもの。
しかも、1人は、話もしよらん人な訳でしょ。
なのに、お酒飲みよる訳!
そんで、話しよらんけど、お付きのモン達が、ABCD...って、全部言葉を拾う訳でしょ〜?
こんなん、見たことなかモンね。
びっくりしてなー!
だけぇ、まりちゃん(奥さん)なんて、医者の許可とっとるんか、なんて聞いてしまった!
でもね、こん人たち、ホントに明るく飲みよる訳!
宏美さんも、賢くてなぁ〜素晴らしい訳!
本も出しよるんと、いただいたんよ、一冊!
これはママに会わせんとと思ってね、連れて来たという訳!」
私たちもまた、CILの活動のことや、映画上映活動のことを話して。
ママは、とても素直でぶっちゃけた人で、分からないこと、疑問なんかを直にぶつけてくる。
尊厳死法のこと、他人介助の意義、障害者支援のこと、海外の状況、呼吸器のこと、コミュニケーションについて、延々盛り上がり、時間は23時。
「いやー...今日は、新しい世界を知ったー...。
高齢者はよう見よるけど、障害者のことは、よう見よらんけんね。
世の中、知らんことばいっぱいあるんねぇー。
ホントに楽しかったー!
うちはお金もないしね、もう歳やけん、たいしたことできんかも分からんけど、
また小倉でなんかある時には、必ず駆けつけるき、連絡して!
この辺に、あんたらの仲間がおるんね?
映画のことも、全然知らんかった。
宣伝が足りん!って言っといて!見たかったわー...。
一般の人に知らせんと、意味ないでしょー。
世の中、ようなるよう、お互いがんばらんね!
あんたら、今でも頑張っとると思うけど、もっとがんばり!
あたしらががんばっても、障害者の本人の事ば、分からんき。
あんたらが、伝えてくれんと。
応援しとるき!また来て!」
お勘定しようと思ったら、また、よしおちゃんとママが、
「今日はいいから!ご縁だから!」と...!
北九州、なんていいとこなんだ...w
小次郎で、月一上映会とか、やってくれたらサイコーだなぁw
時間は24時前。
さて、帰るか...?
と歩き出したら、今度は渡部さんが、「なんか食べたくない?」
ちょ...、みんな、元気やなー...
「えびちゃん、付き合ってw」
まぢ?Σ(゚д゚lll)
いや、ここまでくりゃーどこまでも付き合いますよ、えぇw
で、どこ行きますの?
「ラーメンw」
...ですよね...。
地元のジロー君のオススメということで、
小倉駅近くの「まるいちラーメン」へ。
ここも小さな店舗だったけど、
優しい店長がテーブル配置替えなんかをしてくれて、
ぎゅーぎゅーに押し入るw
ビールとラーメンと餃子。
男衆達は、みんな替え玉注文。
そしたら店長、私のアテにも替え玉おまけ。
あまり常食が食べられない私の介助の一環で、この3日間、私のご飯のお残しを食べ続けていたアテの胃も限界に近い(笑)
でも、トロッとした豚骨スープ、美味しかった!
そして、ここは渡部さんのおごり!
「ゴチになります!って言ってw」と。
てんちょー!ごちそうさま!美味しかったよ!
北九州さいこー!
って言いながら、やっとの事で家路に着く。
あぁー...出会いがおもしろすぎる1日だった...。
酒ばっかり飲んだけど、お腹いっぱい胸いっぱいw
角打、いいなぁ...。
「CIL角打」作るか...。
飲みながら意見をぶつけ合うって、ホントに大事。
これから、北九州も余韻に浸りながら、新幹線乗りますw
来週末は、下関。
またいい出会いがあるといいなぁ〜。
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