グランパルティータはもともと八重奏だった?
こんにちは! ファゴット奏者の蛯澤亮です。楽器を吹いたり、youtubeやnoteで情報を共有したり、コンサートの企画運営をしています。一緒に人生を楽しんでいきましょう♫
さて、私が主宰して開催しているハルモニームジーク。コロナでできない時期もありましたがいつのまにか40回目!!よくもまあ、40回も続けてるなあと思います。
最初にイベント開催依頼をされたときは「こんな条件でできるかよ」と思ったのですが、様々なアドバイスと他ジャンルの状況なども聞き、ではやってみるかと始めてみると、なかなかできない八重奏を主としていることもあって若手を中心にご出演いただいてここまで続けられました。
出演者とお客様には感謝に絶えません。ありがとうございます!!
さて、今年最初のハルモニームジークはちょっと変わったプログラムです!
アマチュアファゴット奏者編曲の「こうもり」序曲
まず一曲目はヨハン シュトラウス作曲の喜歌劇(オペレッタ)「こうもり」序曲。
こうもり序曲は有名な曲です。どこかで一度は聞いたことがあるはずです。
クライバー/ウィーンフィルがなんといっても有名ですが、こういう野外での何気ない演奏こそウィーンフィルの基礎力がわかります。お決まりのフレージングや構成、表情の付け方、正直今のウィーンフィルではこういうウィーン的な演奏は聞けなくなってしまったと感じます。
さて、このお決まりの「こうもり」序曲を管楽八重奏で挑戦します。編曲したのは私の生徒さんの岡田和也さん。アマチュアファゴット奏者として活動するだけでなく、編曲もしてみたいということで管楽八重奏の編曲に挑戦していただいてます。これは二作目。
なんといっても弦楽器だからこそできる細かい動きをオーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットでやるわけですから大変です。
今回の編曲で岡田さんが無茶振りしたのはホルンw
去年、これを初演した時は「こんなの無理だ」と二人で分けて演奏したのですが、今回演奏する柴田かおりさんはなんと今日の初合わせで見事に吹いてみせてくれました!!ブラーヴァ!!
さて、どんな無茶振りなのか、ぜひ会場で、配信でお聴きください♫
プロコフィエフの名作「ロメオとジュリエット」を管楽八重奏で!
二局目はこれも名作「ロメオとジュリエット」の編曲版。
クラウディオ アバド指揮ベルリンフィル
ちょっと昔の映像。私がクラシックにハマったのは実はこの映像でした。夜中に衛星放送でやっていたこの中継を録画して何回も中学生の時に見ました。若い人はこれを見ると「パユって本当に貴公子だったんだな」って思うことでしょうwww
若い頃のパユはほんとかっこよかった!貴公子とはこのこと!なんといってもフルートを吹く時の顔が普段とほぼ変わらないってのが彼の貴公子たる所以です。いくら美男美女でもフルートに限らず管楽器を吹く時は顔が変わりますからね。だから管楽器がビジュアルで売れにくいと私は思ってます。しかしパユは変わらない。フルート吹いてもイケメンのままなのです。
なんかパユ推しの文章になってしまいましたが、この動画に入っている曲ももちろん今回の八重奏でも演奏します。なかなか八重奏で演奏するには壮大なオーケストラ曲ですが、なかなかよくできた編曲だと思います。ぜひ聴いてみてくださいね♫
メインはグランパルティータ。しかし八重奏!!
今回のメインはモーツァルトの名作「グランパルティータ」。
この曲はセレナーデとして書かれています。セレナーデとは夜曲。夜に、主に外で演奏する曲です。モーツァルトのセレナーデで一番有名なのは「アイネクライネナハトムジーク」。それがセレナーデ第13番、グランパルティータはセレナーデ第10番です。
では題名のグランパルティータとは何かというと「大組曲」という意味です。なんとこの曲は2オーボエ、2クラリネット、2バセットホルン、2ファゴット、4ホルン、コントラバスという13人による演奏なのです。
よく13管楽器の大組曲なんて銘打ってコントラファゴットを入れて全員管楽器でやることがありますがモーツァルトの指定はコントラバスです。
フランス ブリュッヘン指揮 18世紀オーケストラ
一昔前はブリュッヘンと18世紀オーケストラといえば古楽オケの代表でした。録音の多さも際立ちます。そう、名前の通りモーツァルトの生きた18世紀の楽器を使って演奏しています。現在とは見た目だけでなく音もかなり違います。
さて、この13人という大人数のグランパルティータですが、それだけに指揮者を入れて演奏することもあります。私はない方が好きですがw
しかし、この曲の前にモーツァルトはパルティータ、つまりただの「組曲」という名前で管楽八重奏曲を作っていたとされます。
実はグランパルティータの初演は定かではなく、1784年にこの八重奏版を演奏した記録が残っています。
では先に13楽器か、もしくは八重奏なのか?これは定かではないのですが通常八重奏が先ではないかと考えます。というのも八重奏版は4楽章構成です。対してグランパルティータは7楽章構成なので演奏時間も大幅に増えています。
今回、八重奏版を演奏してみて、やはりこちらが先なのではないかと感じます。実はセレナーデの番号自体は10番なのですが、初演時期が明確でないこともありその順番は怪しいのです。
セレナーデ11番は1781年に六重奏版(2クラリネット、2ホルン、2ファゴット)を作っており、1782年にオーボエを追加して八重奏版に編曲しています。これがハルモニームジークの原点と言われています。
セレナーデ12番「ナハトムジーク」も同じ1782年、この年に神聖ローマ皇帝ヨーゼフ二世がウィーン宮廷管楽八重奏団を作ったこともあって立て続けの作曲となったのだろうと推測されます。その後この管楽八重奏はハルモニームジークとして当時の流行スタイルとなります。
ということは1784年に初演したパルティータのあとにグランパルティータを作曲したのか、はたまたグランパルティータの方が1781年以前に書かれていたのか謎です。詳しい方いらっしゃいましたらお教えください。
私としては「八重奏の三曲目として書いてみたけど今までよりぱっとした曲にならなかったなー。もっと楽器増やしてみよっかな♫」みたいな感じで出来上がった可能性もあるかな、と勝手に妄想してます。
はたまたグランパルティータを先に書いたけど「こんな大編成じゃ演奏機会ないよ!八重奏に書き直してくれ!」って言われて「えー!?そんなこと言ったって無理があるよー!じゃあ楽章少なくしてぱぱっと書いちゃえ!てへぺろ」って感じで後から書いた可能性もありますw
実際にこの八重奏版を聴いてどう思うかはあなた次第。なんにせよ、長いグランパルティータをぎゅっと凝縮した感じなので聴きやすいと思います。
ぜひ会場か配信でお聴きくださいね♫
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このnoteは基本的に平日毎日更新します。
ハルモニームジークのように若手の演奏する場も作っていきたいと思っています。ぜひ会場へ、または配信で応援していただけましたら幸いです!
それでは良い週末を!
蛯澤亮でした!