恵方巻きエッセイなん?

たまたま、南南東は真正面だった。豆まきの風習はいつしか、それも数年のうちに、塗り替えられた。我が家は豆を買わなくなり、代わりに一本1000円などする太巻きを買うようになった。
これがバレンタイン商法か?
これが企業努力か? 値上げか? 洗脳? テレビによる影響力? 陰謀論? 

アレか、今年のファッションの流行りカラーは、有名ブランドの重鎮が集まって会議して決めるという。コレは、雑誌や、街のひとびとから自然発生する流行りのカラーではなくて、ブランドファッションの集合会議にて、決定される、暗黙の了解としての業界が選んだカラーである。と、業界の暴露雑誌で読んだことがある。裏付けはそれ以上にないが、納得感はあった。

なにせファッション雑誌は示し合わせる。答えを。一斉にある日、とつぜん、流行り病になって特定のカラーが流行の色として宣伝されて、気がつけば街中にその色の女の子たち、男の子たち、特に女の子たちがコピー品の量産性の服装になってゆくから、流行カラーは本物になって雑誌が事実を書いたことになる。卵が先か、ニワトリが先か、そんな話になる。さらに流行カラーは一年ほどで移り変わるから、皆そろって服を買い換えることになる。これぞ商売だろう。

恵方巻きを壁に向かって無言で食べる。
家族そろって、壁に向かって、高級品であるからイイ素材を使っている恵方巻きを、美味しいね、エビも入ってる、なんて会話もなしにまぐまぐ食べる。壁に向かって。無言で。

陰謀論なのかな。
それとも、今年の運が悪いのか。我が家の向きが悪いのか。

なんだか、思考をぐるめいてぐるんぐるんさせているうちに、口内を満たしている美味しいものが、少なくなっていった。

これぞ完璧なる黙食じゃん。そうも思った。なんだ、企業や権力者が本気になれば、あっという間に黙食を世間に洗脳させられるじゃん。あれ、やっぱり陰謀論のほう? ソッチの話? 

なんて思っても恵方巻きだ。
黙っていいから食え。買え。そういう意味なんかしら。

なんて、思っていると、口から恵方巻きは消えていた。
まぁ、美味しいよね。高いけど。よくわからんけど。どうも。

ご馳走さま!


END.

読んでいただきありがとうございます。練習の励みにしてます。