ラストマイルが描く光と闇。
映画「ラストマイル」を観てきました。
話題作だからしばらく大丈夫かな…と思っていたら、あっという間に夜の時間帯が無くなり、昼間も減り…ということで友だちと慌てて映画館へ。
DOINAKAの映画館は打ち切りが早いのは気のせいでしょうか笑。
以下、思ったことや感想を書いていきます。
これからご覧になる方はご注意ください。
この映画はドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」の世界が交錯しているということで、両ドラマのファンとしては待望の続編を見るような気持ち。懐かしの顔が揃って嬉しい。
タイトルの「ラストマイル」は物流業界のラストワンマイルのことで、配送業者が顧客へ商品を届ける最後の区間を指すんだとか。
話の舞台は世界的なショッピングサイト「Daily Fast」
あの世界的某ECサイトが頭を過ります笑。
ある日、物流センターから出荷された荷物が個人宅や店舗で爆発。
さらに1ダース分の爆弾が仕掛けられていることがネットで判明します。
次々と起こる爆破事故。募る不安。犯人は誰なのか。その意図とは…という内容です。
その流れを主軸に巨大企業の圧力により雑に扱われてしまう下請け、という社会の縮図を描き、最終的に物流業界の問題点を浮き彫りにし、映画を観ている我々にも問題提起。
いやいやいや…脚本すごすぎんか。
演じている俳優陣も主役級の人ばかり。引き込まれました。
ラストに向かって怒涛の伏線回収。
観ている側は伏線を1回で回収しきれないから、何個か落としてる笑。
「物流」は今や生活の一部であり、なくてはならないもの。止めるわけにはいかないもの。
多くの人がその流れに組み込まれています。
来たるセールに向けて人員増員。雪崩のように物流センターに飲み込まれていく非正規派遣社員。
指示を出すのは数名しかいない正社員。
彼らもまた大企業でキャリアを積み、何があっても物流を止めてはいけない、失敗は許されない、というプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。
稼働率を下げてはいけない、と人命を軽視して売上と数値目標にこだわる上層部。
「稼働率が〇%下がったら〇億円の売上が吹っ飛ぶ」という劇中のセリフからもその様子が伺えます。
その結果、派遣社員、正社員ともに疲弊。
下請けとなる中小企業や運送会社にもプレッシャーがかかる。ここらへんは見ていて苦しかったです。
さらに「ラストワンマイル」にあたる配送業者の苦労・厳しさも描かれます。現代社会において彼らは非常に重要なインフラであるにも関わらず、安く買い叩かれ、不在や再配達も大量発生。その労働環境が社会問題となっています。
利便性の裏にある社会の闇というか、問題というか。
便利さだけ、売上だけを追求して良いのか。いろいろ考えさせられる内容でした。
日本の99%は中小企業ですからね。
有利な立場を利用し、下請けに不利な条件を押し付け重労働を強いるやり方は様々な業界で起きている社会問題です。
全部の企業がこうではないと思うけど、コロナ禍でさらに厳しい経営状況になっている現状を目の当たりにしているので、他人事ではないし、胸がザワザワしました。
映画的にはドラマの内容を知らなくても楽しめると思います。
終わったあとも友だちと考察が止まらない。
滑り込みで行ったけど良い時間を過ごすことができました。
考察を踏まえてもう1度観たい笑。
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