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スエヒロガリの末廣。

スエヒロガリの末廣。

先日、會津の日本酒「末廣」を購入しました。
私の中で「末廣」はおじいちゃんの酒。実家の祖父が一時期よく飲んでいました。

当時、近所に昔懐かし「酒屋さん」というものがありまして。
そろそろ日本酒が切れる頃だな…と思っていると、サザエさんに出てくる三河屋さんみたいに「ちわ~す!○○でぇ~す」とタイミング良く玄関に来てくれる。

今はそんな時代ではないですかね…。小さい頃は酒屋のおじさんが来てくれる日が楽しみで。
時にはお酒と一緒にサービスでお菓子を持ってきてくれたり、ジュースをくれたり。ご近所ならではのお付き合いがありました。

母におつかいを頼まれ、醤油やみりんを求めて酒屋さんに行くこともありました。
古い木造の店舗。木の引き戸。中は少し薄暗くて、不思議なにおいがして、子どもにとっては異空間。

「こ、こ…。こんにちはぁ…。」と恐る恐る声をかけると、奥から酒屋のおじさんが「はい、いらっしゃい~!今日はどした?」と笑顔で迎えてくれる。その顔を見てなぜかホッとする。そんな日常でした。

買い物の最後には必ず「うまい棒」をくれる。しかも、好きな味を選ばせてくれる。
レジ横には茶色い殻の「くんせいたまご」が置いてある。卵の殻があんなに茶色く光ることに衝撃を受けた小さい頃の私。笑

時は流れ、おじさんも年を取り、酒屋は閉業。店舗は閉業後もしばらく残っていたけれど、いつの間にか更地になりました。酒屋のおじさんはどこに行ったんだろう。
届けてくれる人がいなくなってしまったので、祖父はスーパーで日本酒を買うようになりました。それもなんだか切ない。

そんなこんなで、買い物をしていたら「末廣」が売られていて。
自分を取り巻く環境はいろいろ変化しても「末廣」のラベルは昔のまま。そのラベルを見るまでは酒屋さんのことも、祖父が昔よく飲んでいたことも、すっかり記憶の奥の奥の方にしまわれていて。
でも、ラベルを見た瞬間、いろいろな記憶が一気にフラッシュバック。

あの頃は日本酒なんて飲める年齢じゃなかった。だけど、今は違う。
何十年も経って、自分がこんなに日本酒を飲むようになるとは思わなかった笑。

「末廣」はしっかり、どっしり日本酒の味がする。口に含むと日本酒独特の香りが広がる。
大人の味。でも、どうやらそれを「美味い」と感じる年齢になってしまったようです。

思い出はいつでも日本酒と共に。ただの呑兵衛やん。笑


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