Ascenders College プロコース 0期 第1回 〜部位開発 体幹編〜
久々の投稿になりますが、今回は普段からお世話になっているトレーナー育成団体のAscenders College さんの今年から新設されたプロコースの第1回の講義の内容について共有させていただきたいと思います。
私のSNS発信は、最近はInstagramにて発信させていただいておりますので、そちらもチェックしていただけたら幸いです。
今回新設されたAscenders Collegeプロコースとは、全10回の約3ヶ月という短期集中で学ぶことができ、現場で活躍できる実力をつけるためのコースとなります。
プロコースの中では卒業試験というものがあり、その卒業試験は他のスクールに比べると非常に実践的かつ厳しく、①BIG3をはじめ、リフティングなどの自分自身のフィジカルチェック、②受講と共に担当するアスリートに実際にトレーニング指導を行い、実施内容をまとめて発表、③トレーニング指導を受けたアスリートからの評価の3項目をクリアしなくては卒業試験が合格にならないというものです。
そんなプロコースが今年から新設され、0期生として1月から受講しています。
前置きが長くなってしまいましたが、ここから講義内容をご紹介していきたいと思います。
第1回目の講義は 〜部位開発 体幹編〜というテーマでした。
まず最初に、トレーニングの全体像についてと運動学習の段階とアプローチ方法について基礎理論として説明していただき、それに沿う形で体幹のトレーニングについてご指導いただきました。
トレーニングの全体像
トレーニングを部位開発、統合、揺らぎ、競技の4つに大まかに分類して考えると分かりやすいというものです。
その時々で必要なものがこの4つのうちどれなのかを適切に判断し、選択していくことでパフォーマンスが向上していきます。
部位開発とは
使おうとしても使えない筋を使えるようにしていくフェーズです。
複合運動にしてしまうと、脳は得意な運動パターンで動作を遂行しようとします。
それでは何度繰り返しても結果は変わらないので、使えない筋を使わざるを得ない環境設定などの工夫をすることで使えるようにしていきます。
統合とは
複合運動で全身の動作を効率的にしていくフェーズです。
全身の筋を適切なバランスで出力していくことで疲れにくい効率的な動きを目指します。
部位開発が1点に負荷を集中させるものだとすれば、統合は負荷を全身に分散させるようなイメージになります。
揺らぎとは
運動に外乱や変数を加えることによって、競技場面に近づけたり、神経的な負荷を上げたりしていくフェーズです。
外乱や変数の種類の選択やどの程度の難易度に設定するかなど、トレーナーの発想力が試されるフェーズです。
競技とは
文字通りの競技動作です。
選手は競技動作を基にトレーニングについて考えているため、我々トレーナーも競技動作からトレーニングを考えていけるように思考を整理しておく必要があります。
トレーニングを指導する際は、その選手の競技特異性へのある程度の理解が必要になります。
この4つのフェーズに順番などはなく、その時々に必要なものを適切に選択しながらグルグルと4つを回りながらトレーニングを行っていきます。
運動学習の段階とアプローチ方法
運動学習は"動作としてできるかできないか"と"頭で意識できているかできていないか"の2軸によって4つに分類すると考えやすいというものでした。
分類した4つの特徴を基にアプローチ方法を考えていくと、運動学習をスムーズに進めやすくなります。
①意識できておらず、できない
その動作をそもそも初めて聞いたり、必要だと思っていなかったりする状態です。
まずは選手に競技パフォーマンス向上のために必要なことであると理解してもらうことが必要になってきます。
②意識はしているが、できない
その動作が必要なことだと理解してやろうとしているが上手くいかない状態です。
この場合はまずはできるようにすることを目指します。
その動作がやりやすくなる環境設定やその選手が元々持っている感覚に近いキューイングなどを使いながらできるようにトレーニングしていきます。
③意識すればできる
その動作を意識すれば上手くできる状態です。
この場合は、敢えて自分の身体の外に意識が向くような負荷を加えてトレーニングを行います。
競技中は自分の動作以外のものを気にしなければならないスポーツがほとんどかと思います。
そんな中、意識が自分の身体の外に向いた途端に動作が崩れてしまっては競技パフォーマンスの向上には繋がりません。
そのため、意識が自分の身体の外に向いても動作が崩れないようにしていく必要があります。
④無意識でできる
その動作を無意識でできる状態です。
所謂、自動化された段階です。
ここまで来て競技中に習得した動作が活きてきます。
競技パフォーマンス向上のためにトレーニングするのであれば、この段階を目指してプログラムをデザインしていく必要があります。
部位開発 体幹編(腹圧)
今回はどんな運動でも大事な腹圧を入れるために横隔膜をコントロールするトレーニングを運動学習の段階に沿って行いました。
①"意識もできておらず、できない"→"意識はしているが、できない"にするためのトレーニング
この場合、理論的な説明や擬似体験などで自分にとって必要なものだと理解してもらう必要があります。
風船逆流トレーニング
これは風船を使って腹圧を入れるために重要な横隔膜が動く感覚を掴むためのトレーニングです。
まず風船を膨らませて、風船内の空気と肺の中の空気を同化させます。
この時は風船を手を使わずに口で咥えるだけで保ちます。
その状態から風船内の空気を肺に勢い良く貰うことで強制的に横隔膜を収縮ポジションに押し下げます。
その際に胸郭上部などに空気が逃げないようにコントロールしておく必要があります。
それができたら呼気と吸気を繰り返すことで横隔膜が動く感覚を掴みます。
横隔膜のような意識のしにくい場合はこのように強制的に気付けるような環境を設定すると伝わりやすいです。
②"意識はしているが、できない"→"意識すればできる"にするためのトレーニング
この場合は腹腔をより解像度高く理解したり、代償動作を修正する必要があります。
カメ呼吸
腹腔の後方への広がりを作るためのトレーニングです。
正座で座り、頭を床につけて亀のように丸くなります。
その状態で腹圧を意識しながら呼吸をしていきます。
この時にトレーナーが腰背部を触れておくと後方への膨らみを意識しやすくなります。
腹押し呼吸
選手は仰向けで寝て風船を膨らまし、口のみ風船をで咥えながら風船内の空気と肺の中の空気を同化させます。
その状態を保ちながらお腹に力を入れます。
トレーナーは選手のお腹の上に両手を重ねて体重をかけて押していきます。
選手はその圧に負けないように腹圧を保ちながら鼻で自然呼吸を行います。
トレーナーのお腹を押す圧によってプログレッションとリグレッションができます。
目標は腕立て伏せの状態で押しても負けないで腹圧を保てるレベルです。
③"意識すればてきる"→"無意識でできる"にするためのトレーニング
この場合は強度や難易度が上がっても課題の動作が行えるようにする必要があります。
レッグレイズ
選手は仰向けで寝て腹圧を入れます。
トレーナーは選手のお腹を片膝で体重をかけて押していきます。
お腹を押さずにやっても良いですが、押した方が腹圧を意識しやすくなります。
選手は腹圧を保ったまま脚を伸ばしたまま上げ下げしていきます。
レッグレイズはしっかりとやると5〜10回で十分追い込める種目です。
それ以上できている場合は腹圧が抜けて代償して行っている可能性が高いです。
メディシンボールレッグレイズ
レッグレイズをする際に首や肩に力が入ってしまう場合は、脚にメディシンボールなどを挟むと首や肩の力みが抜けやすくなります。
このような流れで強度を上げても腹圧が無意識に入るようにトレーニングしていきます。
このような内容でAscenders Collegeプロコースの第一回目の講義が終了しました。
今後もAscenders Collegeプロコースの講義内容は受講生がnote記事にしていきますので、ご興味がある方は要チェックです!