西の空へ祈った日々のこと:続
【いつもより短いです】🌿🌿
ずっと昔の事なのに
ついこの前のように感じるお話です
手が掛かった息子たちも成長し
末っ子が全寮制の高校に入学してしまったので
毎日さぞかしヒマするだろうと
思っていたのにアテが外れたあたりから
お話が続きます
◇◇◇
「お母さん、怪我じゃありません。
今度は保護者のかたに、学校へ来ていただかないとなりません。」
息子の学校から電話がかかり、先生は往復400km以上という距離を承知して、そうおっしゃっていました。
いったい、今度はなにがあったのか。
電話口でお伺いすると、なにやら学校の規則に反することを仕出かしたという事でしたが、詳しいことは差し控えて対面で説明したいとおっしゃいます。
昼下がりの静かな時間が、一瞬でふっとびました。
取るものも取り敢えず、学校に向かう仕度を始めます。
当時70代だったじいちゃんに留守番を頼み、夜には帰宅する夫や長男にはメモを書き置きました。
急いでメールで知らせたとしても、こんなことで仕事に支障を来たしたらいけません。
あ、お化粧も、ちょっとくらい直しておかなくっちゃ。
お〇夜と同じ要領で、整え過ぎない程度にととのえました。
かくして、インターチェンジから東名高速に乗ったのは、初夏の高い太陽が、西に少し傾いたくらいの時間でありました。
ガソリンは満タン給油で、準備OK!
ハンドルを握ると、そこはかとないワクワク感が否めません。
とはいえ、息子が何をしでかして、校則に触れたのか?
余計なことは考えまいと思っても、
ヘタな考えは止まりません。
誰かを傷つけるようなことをしてしまったのか?
寮内での決まりを守らなかったのか?
どこかの川か湖で泳いだのか?
ひとの分のご飯を奪ったのか?
(いくらでも湧いてきます)
音楽でもかけようかな、
お気に入りのMDを差し込みました。
あ‥‥、
MD知りませんですか?
2000年代に、一時期流行ってたんですよ。
ミニディスクの略で、好きな音楽を録音するんです。
当時のカーオーディオには、それを差し込む口がついていたものでした。
カーナビですか?
車載器はまだ少なくて、ジャパネットで買った「ゴリラ」というポータブルのカーナビを、ダッシュボードの上に取り付けていましたよ。
イミがわかりませんか?汗
気分良くMDなんか聴いているうちに、
夕方の5時頃でしたか、学校に到着できました。
職員室に声を掛けますと、担任の先生が待っていてくださり、校長室の方へと案内されました。
応接用のソファに座って、ほかの方が揃うのを待ちます。
こういう時間は長く感じるものですが、10分そこそこだったでしょうか。
先生方と息子が、校長室に出揃いました。
校長先生は不在で、担任の先生と寮監長の先生がみえました。
息子は少々かたい表情をしています。
(これは当然です)
先生のお話によると、高校生がやってはいけない「喫煙」と「飲酒」をしたとのことでした。
寮生活で仲良くなった先輩がたが、「怪我の快気祝い」と称してお酒とオツマミで宴会を催し、そこで煙草も吸ったというのが明るみに出たのです。
なんと返したものか、言葉が出ませんでした。汗
正直なところ
その光景が脳内を駆けめぐって
笑い出しそうになってたのですが
不謹慎です
そんな顔はできません
「申し訳ありませんでした‥‥」
親である自分の責任を呼び覚ましました。
そもそも学校寮では、上級生の部屋に自由に出入りするのも禁じられているのだそうです。言われてみれば肯けます。
しかも、宴会は消灯後に密かに催されたのです。
法律と寮則の両方を破る行為であったことは、重く受け止めなければなりません。
先生からの説明の後で、今回の処分が言い渡されました。
この宴会に関わった先輩がたと息子に、自宅謹慎3日間という事でした。
誰が誘ったとか、誘われたとか、微妙なことは先生がたも承知しておられました。それについては個別に指導したうえでの処分だとの事。
申し立てることは何もありません。
まとめる程の荷物は無いのですが、息子はいったん寮に戻りました。
寮は学校の敷地内にあって、友だちが声を掛けてくれます。
ドンマイ!
早く帰ってこいよ!
オマエの飯はオレが食う!
からかっているのか励ましていのかよくわかりません。笑
そういえば、
もうじき晩ご飯の時間でした。
貴重品や学習道具少々を携えて、寮から息子が出て来ました。
そこへたまたまですが、保健室の先生がいらっしゃいました。
「足の怪我がちゃんと治ってよかったですね」
「先生、その節はお世話になりました」
「この子がいるとね、みんな元気で楽しそうなんですよ
寮生活のストレスで、お腹をこわしたりする子も
けっこう居るんですけど」
なぐさめて下さってたんでしょう。
けど、嬉しいお言葉でした。
何人かの男子が、駐車場のクルマの所までついてきてくれました。
(女子はひとりも居ません。汗)
手を振り合いながら、クルマは走り出します。
県道へつながる一本道を、わたしはまっすぐに加速して行きました。
「久しぶりに家に帰れるの、オレうれしいなぁ~~💕」
緊張が解けたのでしょう、息子が笑顔でしゃべり始めます。
「ちっとも久しぶりじゃないでしょ、入学してまだ2ヶ月だよ!汗」
わたしの頭の中には、3日後に再び息子を連れて学校へ戻す手筈が渦巻いていました。
→反省の辞を親子で述べて復学させていただくにあたり、所要時間が8時間以上、交通に掛かる費用が約1万5千円‥‥
(痛い、痛すぎる)
・・・・・・・・・
3日間の自宅謹慎中に、息子はおとなしく学習し、反省文を書いて過ごしました。
また、トイレ掃除をするよう先生から言われたとかで、自宅のトイレを生まれて初めて掃除して見せ、親を驚かせました。
わが家には小便器もあって、掃除の手間が少々掛かるのですが、男子寮の掃除当番のおかげで慣れたものです。
食卓には、いつもより美味しいものをならべて、ついつい歓迎モード。
いけませんよね?
わかっちゃいるんですが
バカ親です
あっという間の3日間でした
例によって、ダンボール箱いっぱいにお菓子やペット飲料を詰め込んで、クルマに積みました。
この後も3年間ずっと続くこのダンボール箱を、じいちゃんは「慰問袋だな」と笑って呼びました。
慰問袋とは、戦地の兵隊さんを慰めるために、日用品や好きな物を詰めて送った袋のことだそうです。
・・・・・・・・・
初夏は程なく盛夏になり、短い夏休み(寮生向けの学習カリキュラムがあるので帰省は10日間ほど)がやって来ましたが、ゆっくりする間もなく2学期が始まって、息子はまた学校へ戻りました。
これでめでたしめでたし、と行きたいところなんですが‥‥
まだまだ残暑が厳しい頃のことです。
学校からまた電話がかかってきました。
担任の先生からで、息子がまた何かをやらかしたであろうことは瞬間的にわかりました。
先生も、言いづらそうにしています。
「今度は何をやらかしたんでしょうか?」
お伺いすると、
休日に外出許可をとった息子が、出掛けた先でまたしても何やらいけない事をした様子です。
「先生、また自宅謹慎でしょうか?」
順序を違えた感がありますが、つい口から出てしまった言葉でした。
「お母さん、詳しく説明しますから、とにかく学校に来て下さい。
息子さんも、ひとりで帰す訳にはいきませんので。」
(帰すんか~~~い!!汗)
脳内でリフレインしました。
往復400km以上という距離を承知して、先生はおっしゃっているのです。
このお話は、まだ続きがあるようです。
photo by 30sunfish
🌿続きのお話が書けました🌿