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西の空へ祈った日々のこと:続々
【いつもより短いです】🌿🌿🌿
ずっと昔の事なのに
ついこの前のように感じるお話です
手が掛かった息子たちも成長し
末っ子が全寮制の高校に入学してしまったので
毎日さぞかしヒマするだろうと
思っていたのに何故か忙しくなったあたりから
お話が続きます
◇◇◇
「お母さん、詳しく説明しますから、とにかく学校に来て下さい。
息子さんも、ひとりで帰す訳にはいきませんので。」
‥‥これは間違いなく、再び自宅謹慎の処分が出るという意味でしょう。
息子の学校から電話がかかり、またしても往復400km以上という距離をクルマで走ることとなりました。
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たいがいに仕度をととのえて出発です。
秋分を過ぎた秋の夕日は、どんどん山の向こうへ沈んでいきます。
それを追いかけるように少々クルマをとばしました。
学校で待ち受けていてくださった先生方から告げられたのは、去る休日に息子が外出許可をいただいて、お友だちのお宅へ遊びに出た際に、そこでまた飲酒と喫煙をしたとの事でした。
繰り返しの違反行為なので、重く反省を促したいとのお考えで、自宅謹慎は1週間との事。
(ただでさえ成績悪いのに、ますます勉強がおくれてまうっ!汗汗)
‥‥学校は全寮制でしたが、付近にお住まいの生徒さんは例外的に自宅通学を許可されていまして、今回はそのようなお友だちのお宅へ寮生数名が集まって、息抜きよろしくやらかしたのでしょう。
その時の模様を愉しげに教室で話している所を、真面目な生徒さんが聞きつけて、先生の耳に入ったという経緯でした。
わるいことは出来ないものです。
課題と反省文を渡されて、息子を自宅に連れて帰りました。
そして1週間後にまた学校へ戻り、親子で反省の言葉を述べて息子を置いて帰って来ました。
その4日後のことです。
学校から電話がかかってきました。
とっさにわたしは、なにか事務的な用件かと思いました。
寮費の納め忘れとか、学校からのおたよりへの返信忘れとか。
けれども、
電話の用件は、学校へ息子を迎えに行くというものでした。
抜き打ちの持ち物検査で、息子の荷物から煙草が見つかったのでした。
ほんの4日前に親子で頭を下げて「学校へ戻していただいたら真面目にやります」と約束したばかりだったので、もう先生がたのお顔を直視する事ができません。お詫びの言葉なんて、そらぞらしくて述べられたもんじゃありませんでした。
「まあまあ、お母さん、遠くからお疲れ様です」
寮監長の先生が、やけに柔らかい声で言葉を掛けてくださいます。
逆に不安になりました。
強いお叱りの言葉を覚悟していましたから‥‥
「こんなふうに言うと身も蓋もありませんが、
寮の持ち物検査では時たまあることです。
悪質なこととまでは思っていません。」
息子も聞いている前で、こんな事をおっしゃっていいのでしょうか。
「けれども、出てしまった物に対して、目を瞑る訳にはいきません。」
先生方から重々の注意をいただき、今回は3日間の自宅謹慎を言い渡されました。ようやく親子で「すみませんでした」とお詫びの言葉を口にする事ができました。
「けどねぇ、お母さん、
自宅謹慎から戻って4日目にまた謹慎処分を受けるだなんて、
この学校始まって以来の新記録ですよ!!」
どうして嬉しそうに先生はおっしゃるのでしょう。
わたしは穴があったら入りたい気持ちでいっぱいした。汗
息子の顔をチラッと見たら、にこにこしています‥‥
アタマを叩いてやろうかと思いました。
(ほかの新記録ならよかったのに‥‥汗)
例によって課題と反省文を渡されて、息子を自宅に連れて帰りました。
いつもよりおいしい物を食卓にのせてしまいましたが、もちろん親子でよく話し合い、今度は「禁煙パイポ」もたくさん慰問袋に詰めました。
(‥‥‥‥)
そして3日後にまた学校へ戻り、親子で反省の言葉を述べて息子を置いて帰って来たのです。
日帰りの長距離運転がこのところ4回も続いたせいでしょうか。
その日の晩はぐっすり眠ることが出来ました。
そして爽やかに迎えた翌日の朝
早々に学校から電話がかかってきました。
先生の言葉を聞いて、ヘンな夢を見ているのだと思いました。
またしても学校へ行かねばならないとおっしゃるのです。
昨日、送り届けたばかりなんですよ?
秒殺、いえ日殺(にっさつ?)でしたね。汗
東名高速道路を連日 苦もなく疾走して、あの頃は自分も若かったのだとつくづく思います。
行き着いた学校で先生から報告されたのは、寮での深夜の宴会沙汰。
‥‥記録的な処分を受けた息子が、寮へ無事に戻ったのを祝賀する宴会が、昨晩のうちに催されたのだそうです。
あいた口が塞がらない顔をしているわたしを前に、先生方がわはははは!と笑い出したのです。
どうしたらいいのか、全くわかりません。
シリアスな気持ちとコメディーな気分がせめぎ合って、つられて笑ってしまうところでした!汗
もちろん、笑いませんでしたよ。
「お母さん、もうこの記録は誰にも破られることはありませんね!笑」
喜んでいる状況ではありません。汗
処分を真摯に受け止めながらも、
先生方の温情を超えた息子への想いが伝わりました。厳しく温かく時に笑いをもってして親身にご指導くださることへ、感謝しつつも、息子がそれに応えていないことが、親として口惜しかったものです。
「大器晩成ですよ。完成するまでゆっくり待ちましょう」
ほかの先生が励まして下さいました。
どんな器が完成するんだか‥‥?!汗
(今は考えないでおこう)
もう何度目かわかりませんが、
息子をクルマに乗せて帰路の200kmを走ります。
学校は全寮制でしたから、北海道と沖縄を除く全国の都道府県出身の生徒さん達が在学していました。(当時)
もしも一体、青森や九州の生徒さんが謹慎処分になったら、親御さんは飛行機に乗って迎えに来るのでしょうか?!
(考えにくいことです)
まさか先生には聞けません。
雑念に翻弄されながら、ハンドルを握ります。
「あ、おふくろ、昼飯の時間が過ぎたから、
次のパーキングでめしにしよ!」
腹時計のネジだけは緩んでいないようでした。汗
・・・・・・・・・
自宅謹慎の日々を静かに過ごし
一連の儀礼を尽くして
息子がまた学校へ戻りました
その後、
息子は学校や寮の規則をやぶる事も無く、何とか進級して高校2年生になりました。
しばし平和なある日のこと、
久々に学校から電話がかかってきました。
電話の向こうの先生の声は、とても緊迫していました。
今回は電話口で用件をかいつまんで話して下さいました。
息子やそのお友だちが、事もあろうにア〇ルトDVDをダビングして売りさばいてたとおっしゃるのです。
そして今回は、本人達からいろいろ聞き取らないといけない事があるので、息子をすぐには迎えに来ないでいいと。親は自宅で連絡を待つようにとのお達しでした。
20年前が今よりだいぶ長閑だったとはいえ、背後に犯罪組織のにおいが‥‥
いえ、取り越し苦労をしてもはじまりません!
→いや、たまには、した方がいいのかな‥‥?
数日後に電話があり、わたしは学校へ向かうことになりました。
さすがに気を揉んで寝不足での運転でしたが‥‥
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このお話は、次回でおしまいのようです。
photo by 30sunfish
🌿続きのお話が書けました🌿