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黒田征太郎さんという画家の方との思い出

足掛け14年ほど住み慣れた場所に別れを告げ、
先日、海と公園が近い場所へ引っ越した。

余りにも多い荷物たちに辟易しながら、
捨てるに捨てれない物が多い中で、止む無く新居へ持って行ってから考えようと、荷物は増えるばかり。
引っ越しして丸三日過ぎたが、今も段ボールに入ったままの荷物たちが部屋の一角を占めている。



僕は元々ホテルマンだった。
ベルボーイという職業柄、数多のお客様のご案内に携わってきたが、
その中に表題の黒田征太郎さんという画家の方がいた。

有名な作品に、大阪のアメリカ村にある、
【鳥人】という作品がある。

Peace on Earth

そうそう。
大阪のFM802の初代ロゴも手掛けていらっしゃった。

FM802は開局35周年を迎えたらしい


当時、黒田さんはニューヨーク在住で、大阪の定宿が、僕が勤めるホテルだった。
何度かチェックインに携わることが出来て、幾つかのお話をさせて頂く中で、僕は黒田さんのファンになった。

ある日、大阪の梅田にあるLOFTで、ライブペインティングという、
音と共にライブで絵を描くというイベントを黒田さんが行っていたのに参加した。

普段のチェックイン時に見せる、優しく柔和な素顔とは全く異なった、
エネルギッシュでひたむきな氏を見て、胸を打たれた。

その時に描いた幾つかの絵は抽選にかけられて、
僕が希望したお気に入りは残念ながら他人の手に渡った。


そのライブペインティング後に、黒田さんに感動した旨を伝えようとご挨拶に行くと、

あ~!〇〇ホテルのベルボーイさん!

と、いたくお喜びいただき、ご同行されていた奥様に、
「〇〇ホテルのベルボーイさん来てくれたよ!」
と、僕がいつも見ていた柔和で優しさに溢れた笑顔で言って下さったのを、今も忘れない。



後日、黒田さんからホテルの僕宛に、幾つかの荷物が届いた。
それは、黒田さんが描かれている絵のポスターたちだった。

僕が抽選で外れたのをご存知だったので、
可哀想に思って下さったのだろう。

驚きと共に、とても嬉しかったのを憶えている。


それ以来、僕は何度かの引っ越しを繰り返したが、
その都度、共に携えて来たのがそのポスターたちだ。

今回、14年近くぶりに、押し入れの奥から出してきたそのポスターたちは、
今でも当時の黒田さんの笑顔を思い返させてくれる。


お気に入りの一枚



ふと気になって、黒田さんは今どうしていらっしゃるのかと調べてみたら・・・

今は地方にお住まいで、そして変わらずライブペインティングをされていらっしゃるようだった。

変わらない氏の笑顔と、
鳥の絵を描かれることが多いこと、
その鳥が花や四葉のクローバーを口にしていることなど、
当時のままでいらっしゃることが嬉しくって嬉しくってたまらなかった。

生年月日を見ると、御年86歳。
これからも一日も長く、花や四葉のクローバーを啄む鳥が、
平和と幸せを運ぶ絵を描き続けて欲しいと願ってやまない。



この場をお借りして、黒田征太郎さんにお礼を言いたい。


黒田征太郎さんへ

梅田LOFTのライブペインティング以来、
僕にとって鳥は平和と幸せの象徴となっています。
そして、描かれている鳥こそが、黒田さんそのものであると思っています。

頂いたのち、お会いする機会に恵まれず、
たくさんのポスターたちのお礼を、
ずっと出来なかったことを心残りに思っていました。

本当に本当に、ありがとうございました。

どうかいつまでも、お元気でお過ごしくださいませ。

元大阪のベルボーイより。


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old rookie (50歳無職|職業訓練でWEBマーケティングを学ぶ)
あざっす!コーヒー飲ませて頂きやっす! (揉み手)