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カフェ・ソスペーゾのお話と、経営者のペイ・フォワード
あることがきっかけで表題を思い出した。
カフェ・ソスペーゾとは、
イタリア・ナポリの文化で、
お金を持たない人がお金を持つ人から、
施しのエスプレッソを頂くことを言います。
その背景をご説明します。
イタリアの首都は「ローマ」。
イタリア半島の中部に位置します。
しかし金融経済の中心は「ミラノ」。
北部に位置します。
基本的にイタリア人は自分が住んでいる所より、
南の地域の人を馬鹿にする。という風潮があるようです。
実際に南に行けば行くほど、
昔は貧しい人が多かったようです。
最南端が「シチリア」マフィアで有名な島
(九州の3分の2くらいの面積で、島と言うには大きすぎますが)
で、とても貧しかった場所です。
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そのローマとシチリアの中間に位置する、
ピッツァ発祥の地ナポリでは、
例えば東京のように、高級住宅街と下町が分かれていることなく、
お金持ちは同じ地域内の住居の上の方に住んでいるそうです。
例えるならば、田園調布のマンションの低層階に低所得者、
上に行けば行くほど高所得者。といった具合です。
なので、お金持ちは普段から貧困層をよく目にして、
なんなら仲も良かったのかも知れません。
ナポリでは前述の
「自分が住んでいる所より南の地域を馬鹿にする。」
という風潮が無いようです。
そんな背景があるから、
生まれた文化が「カフェ・ソスペーゾ」です。
これは「バンコ」と呼ばれるカフェで、
お金持ちの人がエスプレッソを飲んだ時、
会計を払う際に余分にお金を置いていく。
その余分なお金をバンコはストックしておき、
お金を持っていない人が「ソスペーゾある?」
と聞いてもしあれば、その人はエスプレッソにあやかれる。
という「エスプレッソのペイ・フォワード」的な仕組みです。
この仕組みがあるのはイタリア全土の中で、このナポリのみ。
前述の背景と相まった地域性。と言って良いと思います。
しかし、どうやら近年は、この仕組みが廃れつつあるようです。
2000年に流行した映画、ペイ・フォワード。
40代以上の方は、オンタイムで、
ご覧になったことあるんじゃないでしょうか。
その当時、ペイ・フォワード
という言葉をよく聞きました。
ちょっとした流行だったように思います。
ペイフォワード(Pay it forward)とは、自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで、善意をその先につないでいくこと。直訳すると「先に払う」という意味。善意を与えてくれた本人に恩を返す代わりに、他の誰かに(先に)善意を送ることから、日本では「恩送り」とも言われている。
そんな言葉がある以前から、
実行して来られた方々がいます。
きっと皆さんの周りにも。
それは個人的な実感ですが、
経営者の方が多い。ということです。
お話を聞いた経営者の方々は、
ほぼ誰かに助けてもらい、
誰かに教わっています。
そしてそれを恩返しするのは、
自分が受けたように後進の人たちへと、
綿々と受け継がれていく。
ペイ・フォワードを意識してみることが、
未来に何かをもたらしてくれるかもしれません。
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