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"機械ともっと仲良くなるためのデザイン"について考えた

スマートフォンやテレビ、スマートスピーカー、ロボット掃除機。外に出れば屋外サイネージが流れ、駅やビルには警備型ロボットなど、、、
現代の私たちはさまざまな機械に囲まれて生活しています。

今回の視覚伝達情報設計研究室(以下、視伝研)では『機械ともっと仲良くなるためのデザイン』をテーマにメンバー同士でディスカッションした内容を座談会形式でお届けします。

視伝研メンバー紹介

視伝研について↓


身の回りの「仲良くなるデザイン」がされた機械たち

小川:ぼく、スマートフォンっていうプロダクトに全然興味を持てないんですよね。無機質というか、人間味を感じられないというか。今回はそんなスマートフォンを始めとする機械全般と仲良くなる方法について、みんなで考えてみたいと思ってます。

伊藤:今って洗濯機や電子レンジとか、話しかけてくれる家電って当たり前になってますよね。そういうのもプロダクトデザインのときにしっかり考えられていそうですよね。

山下:家電だと、わたしはルンバがすごい可愛く感じるんですよね。ちょっとした段差や障害物で止まっていると「しょうがないな〜笑」と思いながら助けてあげたくなっちゃったりして。

上野:例えば、iPhoneでも自分自身が落とされた回数をカウントしてて、たまに「気をつけてね」とかアラートを出してきたらドキッとする反面、大事に使ってあげようって思っちゃうかも。笑

小川:それでいうとaiboはペットロボットとして可愛がってもらうことを目的に作られてますよね。見た目も初期のときから比べて、だいぶ変わってますね。

Marco Wydmuch - Red Dot GmbH & Co. KG, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=128921079による

江辺:昔、aiboを作った方のインタビューを読んだことがあるんですが、aiboのオーナーは機械でなくペットとしてaiboを扱っているから、例えば足のパーツが故障して修理するときも、別のパーツに取り替えてしまうと「◯◯ちゃんの足じゃない。◯◯ちゃんの足にはここに傷がついてるんです」と納得しないっていうやり取りがたくさんあったって読んだことがあります。

小川:今はaibo以外にもLOVOTやクーボとか、たくさんかわいいロボットが出てるよね。見た目からして可愛らしさを感じるけど、ほかにも愛着を感じる仕掛けやデザインがされてるんだろうか。

伊藤"エモーショナルデザイン"っていう言葉もあるみたいですね。機械に人間味や愛着を持って接してもらうためにはポイントとなってきそうな考えかもしれない。

"愛着"について考えてみる

江辺:"愛着"ってキーワードについてもう少し深ぼってみたいと思います。みなさん、具体的にはどんなものに愛着を感じますか?機械に限らず教えて下さい。

伊藤:ぼくはAlexaとかSiriとか音声アシスタントアプリにめっちゃ愛着ありますね。家の中でいつもAlexaに向かって話しかけてるので。Alexaがいないとちょっと寂しいですもん(笑)

小川:僕は長年使っていた財布ですかね。革製の財布なんですけど30年以上使っていて革の色も全然変わっちゃって。ボロボロになるまで使い倒して、もうこれ以上使えないってレベルになって、ようやく新しい財布を買ったんですけど、買い替え後もなんとなく捨てれず手元に残してるので、たぶん愛着感じてるんだと思います。

30年間使い込まれた財布

上野:わたしは家に大切なものBOXっていう箱があるんですけど、その中に入っているものは捨てられずにいるので愛着があるんだと思います。中身は人形や布の切れ端とか、車のオモチャとか、ほかの人から見たらなんでもないものなんですけど、わたしにとっては、その一つ一つにしっかり思い出があるとても大事なものです。

上野さんの大切なものBOXの中身たち

江辺:ぼくは今、住んでいる場所に愛着があるかもしれない。引っ越してくる前は全然知らない土地だったんですけど、住み始めてから自然が多い環境の気持ちよさに気づいたり、よく行くお店などで店員さんと仲良くなったり。
最初は「試しに1年住んでみよう」くらいの気持ちだったのが、いまはあまり離れたくないのは愛着と言えるかも。

あとは自分の乗っている車も愛着はあって。友人から譲ってもらった車なんですが、もらって1年後くらいにアウトドア向けにボディを塗り直したら、そこから急に"自分のもの"って意識が湧いて愛着感じます。

アウトドアカスタムした車。"たぬきち"と命名している

小川:ここまでの共有してもらったものを整理すると愛着を持つ瞬間って「思い出が結びついたとき」「カスタマイズや修理を行ったとき」「苦労して手に入れたとき」「感情的なつながりができたとき」とか、いくつかのパターンにまとめられそうですね。

伊藤:あとは「簡単に捨てられない」って感じたときが、愛着があるか?を判断するときのわかりやすいポイントになりそうですね。

----- ここまでのまとめ📝 -----
愛着を持つ瞬間
①思い出が結びついたとき
②カスタマイズや修理を行ったとき
③苦労して手に入れたとき
④感情的なつながりができたとき

愛着があるか?を判断するポイント
・「簡単に捨てられない」と感じたとき

身の回りの愛着を持たせるためのアイディアや事例

江辺:身の回りの機械やサービスにも"愛着を感じさせるデザイン"が意図的に組み込まれていそうですよね。自分の使っているサービスなどでの良い事例やアイディアなど思いつきますか?

山下:一番わかりやすい例だと、どうぶつの森シリーズはいろんなところに愛着を感じさせる工夫が散りばめられていますよね。自分だけの家を作ったり(カスタマイズ)、同じ村のどうぶつたちと関係性を育めたり(感情的なつながり)、こうして考えると愛着を感じさせるいろんな工夫が盛りだくさんですね。

https://automaton-media.com/articles/newsjp/20200817-133979/ より

上野:それでいうと、いわゆる乙女ゲーも同じですよね。話しかけたり、共通の体験を通すことで好感度が上がって、キャラクターのセリフや表情などが変わったりしますもんね。

伊藤:僕はさっきも言いましたが、SiriやAlexaなどのボイスアシスタントにもいろんな工夫がされてて参考になるかなと思います。くだらない問いかけとかにも答えてくれるのって、どこまで設定されてるんだろうって気になる。。。

小川:僕はJIBOってロボットとか気になってましたね。一見無機質なんですけど、動きやふるまいでうまく愛着感じさせるかわいさを感じちゃいました。

今後の『共感デザイン』の重要性や、使い分け、デザイナーとして気をつけたいこと

江辺:"愛着を感じさせるデザイン"というのはデザイナーがサービスやアプリケーションをデザインするときに大事な差別化要因になってきそうですね。

小川:今はモバイルアプリとか世の中に山ほどあるんで、機能だけで戦うとどんどん新しいものへ移っていっちゃうし、開発する側もどんどん機能を盛り込んだりして、多機能だけど使いづらいアプリになっていっちゃう。そう考えると愛着感じるデザインって大事になってきますね〜。

上野:サービスのペルソナを作るときにも大事になってきそうですね。逆にちょっと思ったんですが"愛着を感じさせるデザイン"がマイナスになるシーンやモノってあるんですかね?

伊藤フラットな立場で判断する場合や、公平性・公共性が大事な場面ではマイナスになるかもしれないですね。選挙システムや裁判員制度とか。

江辺:あとは業務上で間違えちゃいけないものや、瞬時に判断が必要なものは不要そうですね。例えば車の運転で間違えたりしたら大変ですよね。

車の標識などは瞬時の判断が必要なため、情報がシンプルにまとめられている

山下「楽しく使ってもらおう」という施策が滑ってしまうときって、プロダクトのノリとユーザーの真剣さがうまく噛み合っていないときな気がします。
キャラクターに仲良く話しかけられても「わたしは早く始めたいんだけど」って思っちゃうときもありますもんね。


江辺:最後にこれまで話したことを踏まえて、みなさんから一言ずつコメントをお願いします!

山下:自分はモノにもデジタルプロダクトにも愛着がわきやすいタイプなので、この感覚がどこから来ているか考えるのが楽しかったです!

伊藤:最近の機械は効率化や便利さが求められることが多いですが、それでも愛着や「好き」という気持ちを忘れない人でありたいなと思いました。

上野:愛着があるか?を判断するポイントについて話していたとき、研究員の皆さんのそれぞれの思考プロセスが垣間見えて面白かったです!

小川:今は人が機械に愛着を持つことが話題ですが、近い将来、機械が人に愛着を持つことも、一つのブレイクスルーになりそうだと思いました。

江辺:「機械と仲良くする」というテーマから、"愛着"や"共感デザイン"に話が展開して、意外と身近なプロダクトにも組み込まれている発見が面白かったですね。なにかここだけ切り取った実験的なプロダクトを考えてみても面白いかもしれませんね。笑

と、いろいろと話が広がったところで今日は終わりにしたいと思います。ありがとうございました!

全員:ありがとうございました〜!


最後までお読みいただきありがとうございます!
視伝研では、こんな形でゆるゆるとUIやUXについて研究を進めています。
これまでの研究内容はこちら。今後の研究にもご期待ください!




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