タクシーの運転手さんがイチオシしてくれた町一番のビーチは、夕方四時過ぎだったこともあって思ったより空いていた。 生まれて初めてのアドリア海。夕日に照らされて波がキラキラしている。遠くの海は濃く、近くは薄く輝いて、その濃淡も美しい。 砂浜の真ん中にあるバーのようなところでお金を払って、二つ分のビーチチェアを確保する。洋服の下に水着を着てきているので、荷物はそんなに多くない。 クロアチアの浜辺はビー玉より大きめの石がごろごろしていて歩きにくい。旅行したことのある人から「海に
ひさしぶりに地元のレストランでお昼ごはんをいただいた。いい天気だったのでテラス席はほぼ満席、いっぽう店内はガラガラだったので待ち時間なしで席に着くことができた。ありがたい。 ひんやりした風が吹いていても太陽が出ていれば絶対に半袖を着る!と心に決めている人が多いのか、その日も半袖やタンクトップやどこを見ていいやらわからない布少なめの服の人が町にあふれていた(七月中旬で最低気温は14℃、最高気温が23℃くらい)。 気苦労の多い一週間だった。ゆっくり過ごすことができる土曜は
「窓の外をみてごらんよ、白のゴールデンレトリバー。美しいねぇ。」 「やっぱり、もう一つクロワッサンをいただこうかな。」 やたらと店員に話しかける中年男性客。 小さなカフェで、他の客は本を読んだりパソコンに向かったりしている。静かな店内にその男性の声はよく響く。 延々と話しかけられている女性店員は慣れた様子で、 「そうですね。」 「はい。」 お手本のような塩対応。朝イチでからまれていらいらしていたのか、その女性店員はおしゃべりおじさんの空のカップをさげるときにスプーンを