
Photo by
oki_tone
チガサキ⊿ライフ011 : 住宅 (地鎮祭)
1. 選択可能祭
自宅の新築を発注した建設会社の社長から、地鎮祭を行うかどうか尋ねられた。昨今は行わない人もおり、特に強制の制度ではないと言い加えながらも、語尾からは開催を進めている事がひしひしと伝わってきた。日本の伝統行事に敬意を表し、行う事とした。あたかも結婚式の日取りを決めるよう、社長は大安吉日等々と我々の予定を調べて、日時は速やかに決定された。
2. 準備
“土木建築工事などで、工事に着手する前に、工事中の安全無事を祈り、また、その土地を占有することになるため、その土地の神の怒らないよう鎮める祭儀で、以下の準備が必要であり、結構な出費を伴った。
お米、お塩(一掴み程度)
金目鯛(お頭付)
季節の野菜、果物を取り合わせて8品ぐらい。奇数3, 5. 7個ずつが揃える事が良い。
神主様へのお礼、三万円(新札)注:ご祝儀袋のサイズ(約9.5cm X 18.5cm)で、“奉献 XX(名前)”と書く

3. 式内容
神主が意味不明の言葉を発しながら、紙吹雪を東西南北にばら撒く、30分程度の演目であった。ひらひら舞い散る紙吹雪には娘は大喜びだったが、私は神主の時給計算が頭から離れなかった。簡易な竹櫓の根元に小さな砂山を作り、私と妻で順番にスコップで砂を一すくいづつ掘る儀式があった。何の感慨も無く業務的に素早く砂を掘る妻に、フルコースの高級料理をあたかもお茶漬けを喉に掛けこむような憤りを覚えた。短い役目を終えた金目鯛とその仲間たちは、神主と共に速やかに退散し、恐らく食卓へ並んだのであろう。祭りの後、鯖にでもしとけば良かったかと、後悔の念も残った。