チェンマイの洪水②
【 パジャマで眠る 】
昨日は、四角い部屋を丸く掃除したようなレベルですが、部屋の中から水と泥をおおよそ追い出し、家の中を足を水に浸さずに移動できるようになりました。なんと、快適で便利なんだろう!と感動でした。
白いふわふわも、一部水がはけた外で用を足せるようになりましたが、外に出るということは、まだ乾いていない泥で足やお腹のふわふわの毛皮が汚れてしまうということで、その都度洗うのは一苦労です。
それでも、彼がだいぶん落ち着きを取り戻したこと、健康の不安が少し軽減されたことは喜ばしいことです。
とはいえ、ふわふわが普段より甘えん坊で私から離れたがらないのは、愛おしいし私の安心にもなるけれど、まだストレスがある証拠ですし、階段の上がり降りも彼の足腰の関節に負担なので、心配が去ったわけではありません。
それでも、部屋の中で粗相をしたのは1回だけ、もう自由に上り下りできるはずの階段も私が許可しない限りは、勝手に降りたりせず、家に入る前に「あらうんですよね?」という風にホースの前で前足を差し出しながら、にこにこしている彼は、なんと紳士で天使なんでしょうか。
昨日、一瞬大雨が来た時には、さすがにどうなることかと思いましたが、その後は晴れたり曇ったりの掃除をするにはちょうど良い天気。
ふわふわの生活圏も少し回復し、家電は動き(まだ一部確認していないけど)、加えてマダムが心配して来て、美味しい差し入れまでしてくれ、電気も来て水も来て、なんとお風呂にまで入れたのだから、それだけでも、大変な進歩でした。
加えて、金曜から一昨日の夜までは、万が一に備えて起きたらすぐに動けるよう普段着のまま床にタオルなどを重ねて寝ていた(薔薇水の蒸留をしている時も、1ヶ月半くらいはいつもこんな感じだったので、割合慣れているのですが、そんな今ではブラックな労働環境が、ここで役立つとは。。!)のですが、そうだ、もう水は来ないんだと気づいて、久しぶりにパジャマに着替えて寝てみました。
汚れを家中に広げないためと、ふわふわを不安がらせないために、まだ寝室のベッドの上ではないですが、1Fのリビングから運び上げるために畳んでいたモロッコのカーペットを広げ、そこに仮眠用の毛布や掛け布団を重ねて寝床を作ってみると、なんだかとてつもなくふかふかに感じられ、ノマドの民の移動式の小さなお座敷のような親密な空間が立ち上がります。そしてゆるやかで柔らかいパジャマに皮膚から緊張が抜けていくようでもあり、もしかして普段よりも気持ちよく熟睡したのではないか?というくらいでした。
今朝、ふわふわの用足しを待ちながら、庭を見回ってみると、ガレージも水が抜けて泥の堆積だけになっていました。家の前に延びる道はまだ冠水したままですが、車のタイヤ半分くらいの深さまで減ってきてはいます。
また、冷蔵庫の中身の大半が傷んでいなかったのもありがたかったし、しかも、マダムが窓辺に吊るしてくれた木曜日のオーガニックマーケットで買ったバナナが、少し過熟気味ではあるけれど無事だったのを見つけたのは、ジャングルを彷徨っていて食べられる果物を発見したのに近い気分でした。
おかげで、今日の朝ごはんはヨーグルトとチャイをお気に入りの器に入れていただくという、背徳さえ感じる贅沢さです。
水がひきつつある中、昨日から行政によるナイトバザールやターペー通りなど市内の観光エリアの路上洗浄がはじまっていて、ほぼ現状復帰して見えるくらいの地域も少なくありません。
泥の堆積がひどい地区で、ブルドーザーがまだ流動する泥を、路地からぐいぐいと押し出していく映像がSNSで流れたりしていました。昨日、水の中を歩いて来てくれたマダムではありませんが、タイの人たちのすごい行動力です。
今日は地区を広げて「Big Cleaning day」という清掃イベントを行うそうです。多分、地域の人たちも参加しつつ、放水車なども来ての大掃除となるのでしょう。
残念ながら我が家のある地区は対象になっていませんが、(実際まだ道は冠水中でもあるし)鉄は熱いうちに。。ではなく、泥は乾かないうちに流せです。私も今日はガレージを洗ってみようかなと思っています。