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毎週土日は1シートリーディングをやっていこうという試みで
その週読んだ本を2冊ご紹介していきます。

今週はこちら!

私は原田マハさんの作品が大好きです。
原田さんの作品には何かしらの「題材」があって、それを取り巻く人の人生模様や人間関係が鮮やかに描かれています。

そして私はドラマチックに描かれる人生模様にもドキドキするのですが、
題材にも強い興味を覚えるのです。

私はこれを読んで強くピカソやゲルニカに興味を持ちました。
また、主人公が勤めているMOMA(ニューヨーク近代美術館)に行くのが今の夢でもあります…

そういう風に、「題材」の描き方もずばぬけています。
それに興味を覚えないくらいに。

今回紹介する「異邦人」は日本画と京都と審美眼が題材。
そしてそこで繰り広げられる妊娠・出会い・救い・裏切り・復讐・出産という
これでもかというドラマが繰り広げられます。

ざっとしたあらすじ

主人公菜穂は妊婦でとある私立美術館の副館長をしており、その審美眼はとてつもなく、彼女が目を付けた新人は必ず売れていくという実績を持っていた。
夫は老舗の画廊の専務、菜穂の家は日本有数の不動産会社を運営しており
裕福な暮らしを送っていた。

東日本大震災をきっかけに、京都へ避難した菜穂は
京都の画廊や日本画家、書道家などの文化人と関わる中で、一人の「とんでもない」無名の日本画家を見つけ出し
「この画家を私のモノにしたい」という強力な欲が動き出し
そこから菜穂と家族の大波乱が始まっていく…

という感じですかね。

モノとの関わり方を教えられた気がする

菜穂は自分の美術館が保有していたモネの「睡蓮」を
夫と母の陰謀により勝手に売却されてしまいました。

「もうあの睡蓮に、生きているうちは会えない…」と嘆く菜穂に
京都の後継人であるせんはこう言います。

「その睡蓮は、もともとあんさんのもんやなかったん違いますか。
 いままでも、これからも、誰のもんにもならへんのと違いますか。」

誰かのもとで役目を終えれば、次の誰かのもとへいく。
そうやって、作品は永遠に伝えられ、はるかな時を生き延びるのだ。

今世の中に、どれだけこういうモノがあるんだろう。

大量消費とモノを持たない生活との二本柱の中で
永久を生きるような「作品」は果たしてどれだけあるんだろう…

私の身の回りのものは、おそらく永久には残らない。
(漫画とか小説は残るかもだけど)

消費されていく、減価償却されるものに囲まれているんだな、私は…と
なんでかこのシーンで気付かされたのでした。

だからと言って絵画を買うわけでもないんだけど…

ただ永久を生きていく、生きてきた作品は見てみたいと思ったのでした。
2歳児連れていける美術館ってあるんかな。

私が思う「やられたわ」と思う小説

私が思うに、最後の1章でどんでん返しがある小説や
ちょっとずつ散りばめられていた伏線が一気に繋がるものは
「してやられた!!」と思ってしまう。
東野圭吾さんとか、もうまさにそれ。

原田マハさん、とくに異邦人は最後にやられた。
まじかーーーーーーという終わり方とともに、だからああだったのかこうだったのか、という反芻が始まる。
一番奥の真実を一番最後にさらりと出してくるものにはやられます。

大人こそ小説を読もう

私は今週3冊ペースで本を読んでいます。
そのうち1冊は小説もしくはエッセイを入れるようにしています。

なぜか。

こういう知らない世界を知れるから。
人の人生を疑似体験できるから。
単純に面白いから。

ビジネス書は自分に知識や考え方、意識の持ち方を教えてくれるけど
疑似体験はできない。

最近小説風のビジネス書は増えているけど、だいたい最後は成功しているので(笑)
面白いけど、してやられた!!まではいかん。
心にじわっと残る、痛く甘く残る余韻はない。
(まあそらそうですわ、小説とビジネス書は違うもん)

こういう体験も人をきっと豊かにしていく。
なので、オトナこそ小説を読んだら人生楽しくなるんじゃないかなと思ったのでした。

それでは!

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