Hi-Fiする

 際限なく続く道程で、過去の再現を行う。繰り返される過程の中で少し違うものが現れては、本当に違うのかと疑問を抱く。生活を雑に、食を粗末に自分を大切にしないのはいつものことで誰かの為にでしか生活ができない。喫煙所で正しく呼吸ができている。吸える環境にいるとなんとなく吸ってしまうが、まだ20代だから、辞めなくてもいいかなと思う。だらだら生きれば、後70年くらいはあるだろう?着々と人の寿命が伸びて、そんなにすることあるんだろうか。アパートの近くの薬局は菓子パンとカップラーメンしか売っていない。コンビニまで行くのは最近が暑すぎる。無意味に手足が震えることが多くなった。自分の手足が勝手に震えてるのでイライラする。ろくなことがない。
 勢いでレンタカーで海に行く。遠くに対岸の光が見える。行こうと思えば行けるが、行ってどうするんだろうと我に返る。一人で何かして楽しかった記憶が殆どない。展示や映画、本屋を周って帰る。一人で外食して何が残る?一人で何かしている自分に酔えるならば、もっと楽しみを見いだせるのかもしれない。娯楽のはずが作業でしかない。この映画は観た、この本も読んだ。で?何なんだろう。何か自分に何か残っているんだろうか。そんでもって作品で中途半端に引用する、そういうのってすぐ分かる。なんかださいかも。いい映画、いい本、いい音楽はある。人に勧めても問題はない。自分の作るものとは違って本当に自分がいいと思えているものだから。自分が作るものは納得のいくことがない。誰だってそうかもしれないが。自分の絵はずっと嫌いで好きになりたくて新しい絵を描く。描いていれば自分の絵が、自分をかつて感動させてくれた絵になれるのかもしれない。誰かにとって自分の絵がそういう存在であれば嬉しいが、自分は自分でどう整理すればいいだろう。絵の内容やモチーフ、展示の仕方、文脈を説明しやすい様につまらない言葉でつらつらと話す。余所行きの言葉で適当に飾られたものでその場を凌いでいる。ただ、自分の絵は綺麗であって欲しい。
 ラフに、もっと簡単に全てが上手く運ぶことはない。簡単は良くないことが多い。簡単は浅くつまらない。悩み、顧みることは、まだ得ることのほうが多い。ただ漠然と悩んでいる自分に酔っているのは時間の無駄で、顧みたと思ったら何かしら手を動かす。朝起きて、ご飯を食べて、仕事でもして(バイトでもいい)、帰ってきてご飯を食べる。好きな人とセックスして寝る。そんな生活を繰り返すことで反復された作業が生まれる。安定は人をつまらなくさせる。要するに一人で考えることが減る。自分だけに割くリソースが減っていくから。安定した場所から泥沼に飛び込んでいく馬鹿は稀有で、その泥沼で溺れかけている馬鹿の方が破滅的で衝動的で煽情的で私は好きだ。

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