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昭和15年のレシピ”ふはふは汁”

◆一年中の経済料理の作方六百種 昭和15年(1940)

 この本は主婦の友新年号の付録料理本です。当時の婦人雑誌は新年号にこのような付録をつけるのが定番だったようで、僕も新年号付録をいっぱい持っています。

この本がでた昭和15年は日本でも世界大戦が目の前にせまっている状態、この本のテーマも経済料理。でも中を読んでいくと洋食のレシピやカタカナ表記もみられちょっと豪華な感じもあります。

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ワインの広告がありますが、フランスの女優を使ってます。

★ダニエルダリューのあの溢れる魅力は彼女が寝むときにホンの少しづつ嗜む、葡萄酒の一杯にあるのです。
★寝前一杯の葡萄酒は快眠と血液循環を齎し、翌る日は清々しい健康に輝く、本當の意味での美しい女性を作るのです。

美容のためにワインとは、ちょっと贅沢な感じもします。

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◆本当に経済料理??

主婦の友を読んでいる時点で読者対象は少しお金持ちの気もしますが、なんか豪華なんですよね。
もしかすると検閲的なものがはいって、「節約を目指す料理本作りましょう」という指導が入ったけど、もう中身が間に合わなくてタイトルだけそうしたという感じもします。

目次の下に”国策代用食パンの作り方一日講習”とありますが詳細は本誌となっているので、付録であるこの本じゃなくて主婦の友のほうにあるのでしょう。

目次をみても経済的なレシピは最後に”経済的な肉料理の作り方六種”があるだけで、なんだかギリギリ最後に付け加えた感じ。

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◆耐熱 グラス卵半熟器

 漫画の広告もとっても面白いです。旦那様の不機嫌がアッサリ解消!されてしまうのだが、主婦の友が取り次ぎをして販売しているのも面白い。
値段を見てみると、

定價 一・二〇
荷造費  一〇
〒 内地・一〇
  南洋・二七
  鮮満・四二

とあるので、満洲などにも送ってくれるみたい。時代を感じます。
またこの雑誌は、その各地で手に入ったってことですよね。すごいな。
そしてこの半熟卵器は、卵をガラスの容器に割って湯煎にかけるのだろうか?
便利かな、どうかな。。。半熟卵失敗する人はこれでも失敗するような。。。

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◆温い汁物と煮込み物十八種 ふはふは汁

昔のレシピ本は今みたいに親切な分量や写真も少なく、文字だけだったりもするのだけど、それが想像力を掻き立てて面白いんですよね。
このページもテキストだらけですが、良い料理名がありました。

ふはふは汁
 水気をきった豆腐と挽肉に、片栗粉と塩少々を振り込んでよく擂り混ぜたものを、人参や椎茸のせん切りを軟く煮た煮出汁の中へ、つみ入れのようにちぎり入れて、お清汁のように味を調えます。下し際に細いせん切りの葱を放して頂くのですが、このつみ入れのふはっとしたお味のよさは、お惣菜めいた汁ながらお客様にも威張っておすすめできます。肉は鶏肉でも豚肉でも兎肉でもよいでせう。

”ふはっとしたお味” たまりません。
これは美味しそうだしぜひ作ってみたいですね。ちなみにこの時代のレシピ本を見ていると、兎肉はよく出てきます。地域によると思いますが結構手に入りやすかったみたいです。

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このページもふはふは汁が載ってたコーナー温い汁物と煮込み物十八種の続きです。
同じ並びに兎肉のシチューダンプリングや、英国風の牛肉の煮込みなどが続きます。
伊太利風の鯉の煮込みもなかなかすごいです。
中身を要約すると。

 鯉のアラでスープをとって、身の方は筒切りにして、玉ねぎ人参を入れたオイルでマリネ。
 その後にフライパンで焼き目をつけ、天板へのせスープをかけて、椎茸玉ねぎのバター炒めをのせて15分蒸し焼き。
 仕上げに天板のスープの味を整えとろみをつけて、上にかけ、パセリをそえる

美味しそう!!というかブイヤベースですかね。すごく手の込んだ料理が紹介されています。

ね経済的じゃないでしょ。この本。
なにせ表紙は鯛ですから。

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