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昭和26年 ”家庭向き洋菓子(ケーキ)の作り方” ポテトホットケーキ ジエロー
◆一年中の家庭料理大全集 婦人生活二月号付録 昭和26年(1951)
終戦から5年半後に出た料理本です。けっこう豪華なレシピが並びますが付録とはいえ、本の作りや印刷はざらついた感じがあります。
昭和26年という時代を調べてみると、朝鮮特需という言葉が出てきます。朝鮮戦争が始まり、アメリカが日本の物資を買って多くの外貨が入ってきた話ですが、どのくらい庶民までその影響はあったのでしょうか。
この本を読んでいくと、景気のよいメニューが並んでいますが、ところどころ戦後を思わせる部分もあります。だけども本の作り全体として、経済も生活も上向きに行こう!という気概のようなものも感じました。
◆味 金子光晴
中に詩人の金子光晴の言葉がありました。
味 金子光晴
ながいあいだ、私たちの舌は、
味わうことを忘れていた。
終戦第六年正月、私たちは、
ほんとうに心をゆたかにするような
ことしの味覚をいろいろよそう豫想(よそう)してみる。
人生も一つの料理なのだ。
苦い、辛い、渋い日々の献立を、
愛情と機知の包丁加減で、
ああ、ほんとうに美味しかったというような
そんな一年にしてみたいものだ!
戦後の言葉、心にしみます。
◆家庭向き洋菓子(ケーキ)の作り方
そんな戦後の気配がある時代の本ですが、ここは家でケーキを焼こうという記事です。
ここでちょっと気になったのは”バター紙”スポンジを焼く時に、型にしいているので、クッキングシートの代わりのようですが、自分で作っています。
バター紙(上質の西洋紙にバターを塗って沁ませて使います)
生地と接していれば大丈夫でしょうが、上に飛び出してしまうと燃えそうです。でもこういうのも手作りしていたんですね。
当時だったらパラフィン紙の代わりというかんじでしょうか。
◆配給小麦の場合
こちらはホットケーキのレシピなのですが、レシピの中に”配給小麦の場合”とあり、文中には”小麦粉の性質によって水がはいるとだらだらゆるくなってしまう粉がありますから、充分注意して下さい。”との表記。
いろいろな粉が出回っていたのでしょうね。
◆ポテトホットケーキ
こちらはポテトホットケーキ。大和芋のすりおろしがカップ1に小麦粉カップ半分です。かなり芋の量が多め。そこにみかんを入れたシロップをかけています。
◆コーヒーケーキ たぶんシナモンロール
こちらのレシピはコーヒーケーキとありますが、コーヒーを使ったケーキではなくて、コーヒーにとても合うケーキだそうです。レシピを読んでいくと、大きいシナモンロールなのではないかなと。
他にもフルーツライスプリン、ポテトプリンとちょっと変わったものが続きます。
◆ジエロー
これはレシピというか、アメリカの放出品の話です。たくさん出回っていたそうです。即席ゼリーの元ですね。箱は英語表記でしょうからもしかしたらこのレシピは重宝されたかもしれません。昭和26年まだまだこういう放出品が手に入ったのですね。