俳句(夏草)
架空の人架空の花火ランドセル
39℃に刈られし草のごとく萎え
夏草や板門店の線の上
(斎藤真一「瞽女物語」より)
髪洗ふ白磁の肌と知らぬまま
暗緑や氷菓に沈む銀の匙
でたらめな夕立が蚊遣火を消さず
誕生日と知りつつ無視や氷水
原爆忌ビッグマックのはみチーズ
鉄道草同じ車が通過する
雨傘をぱすんとひらき原爆忌
夏草やかけがえのある命たち
夏の草眼窩一巻きして伸びる
太陽は憎くて親し夏野原
父を打つ氷菓楽しく握る手で
うるわしき裸体で今日も戦死せり
トイレ男子のトン・ツー型や葛の花
骨壺の熱の去るまで抱えけり
水引や命に赤き線を引く
喘鳴や遠くで揚羽きらめけり
室外機を過ぎる驟雨は曲がりけり
ひぐらしの鳴かない森や氷水
戦争の記事台風の記事地震の記事
畳にきのこみんな断念したらしく
海砕きつつ人哀れなる真珠船
人砕きつつ海哀れなる真珠船
飲食禁止印ハンバーガー我は喰はぬ
(季語てんこ盛りコース)
片蔭の蟷螂不動葛の花
みみずカラビる道歩けども炎天炎上
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