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俳句(大島てる)

犬小屋の首輪の胎児秋桜

いつか我が胸に達する秋の空

隣家炎上大島てるの地図の中

秋をゆく水子の連れる犬は見えず

夕焼を虹が貫き和解など

壁中の菊に凝視されし納棺

行く秋の隣にミルク注ぎけり

二匹目の蠅逃れゆく芥箱

搾乳の個室に洋灯ランプなき裸

胴体に手足の足らぬ枯野かな

薬局脇のタワマン的な鉄道草

ストローは平行に落ち秋の空

全チャンネル放送事故や吾亦紅

心理的瑕疵物件のススワタリ

鰯雲あした冥王星に発つ

鰯雲たぶん痩せてく失踪者

いなびかり人生一筆書きは無理

生存刑の僕ら出勤秋の雨

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