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因果の刻印(破滅の同時性と積極的寛容)





―― 万物に時がある…、己を島として、法を“よりどころ”として、今日を生き切れ!――

新時代の山本伸一 著



“コクリケ” 王様が借りた百エキュ…。

革命の最中に咲いた小さな雄鶏の逸話(いつわ)に基づく新思考の短編小説…(標準のフランス語では「ココリコ」)

昔々、“フランス(仏蘭西)”という名の国があって、その国には一人の王様がいた。

王様は神様との“契約”に従い、自国の民衆のために頑張っていた。

ある日、王様が、お城から出ると、“小さな雄鶏”が歌を歌っていた。

“コクリケ、王様が借りた百エキュ♩”

王様は大変に驚かれた。しかし、公務がある為に、その時は彼に「Salut(サリュ)」と言って車に乗り込もうとした…。しかし、王様は車の扉に手を掛けようとした際に、すこし考えられ、そしてサッと振り返られ、彼に「Coucou(ククゥー)」と言い直された。

小さな雄鶏は大変に喜ばれ、赤い鶏冠(とさか)をピンッと張り、“コクリケ、王様が借りた百エキュ♩”と、さらに歌った。

“Merci à vous.(メルシー・ア・ヴー)”、王様は雄鶏の足元へ、ひと言そう言い放つと、微笑みをもって車の扉を開けた。

瞬間、風が庭に吹いた…。

“コクリケ、王様が借りた百エキュ♩”

フランスの人々は、その時、確かに其の声を聴き受けた。

“コクリケ、王様が借りた百エキュ♩”

遠く海を渡り、その“コクリケ”は、世界にミツバチの巣を作り、やはり“川”を味方にして、その“百エキュ”を世界経済として行った…。

“コクリケ、王様が借りた百エキュ♩”



(完)



田中 政弘



※     “小さな雄鶏” は、岩波文庫の「フランス民話集」の37に収録されております

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