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賢者の選択@大阪で基調講演を行いました

【賢者の選択リーダーズ倶楽部】
~引用~
スペシャル講演②
日本政府が推し進める日本半導体再興プランとグローバルAI半導体戦争のリスクを検証する~AI半導体の更なる需要を喚起するスマートシティの未来は?~
アーキテクトグランドデザイン株式会社 ファウンダー兼チーフアーキテクト
一般社団法人サイバースマートシティ創造協議会 代表理事 豊崎 禎久氏

いまや半導体最先端技術は中国が米国を凌駕する勢いで、米国政府の制裁もなかなか効かない状況です。2023年のデータによると、中国では、稼働中の半導体FABが44、建設中か検討中が33と言われており、それ以外にも公になっていないFABも含めると100近くあるだろうと見られています。また、新規開発プロジェクトは350以上進められていることが確認されています。中国市場における日本を含めた世界的な半導体製造メーカーも軒並み売上を伸ばしており、企業の売上全体に占める中国市場の割合は4割を超えています。つまり、最終的にビジネスとして消費させる構造がこれらを支えているとも言えるでしょう。
現在、私が参画しているインドネシアでのスマートシティ開発でも、ビッグデータを活用した未来予知社会を前提としたデジタル・サイバースマートシティのグランドデザインを描き、各機能が確定し、それを半導体に落とし込んでいくというロジックで計画が進んでいます。将来的にスマートシティの頭脳は量子コンピュータになり、各端末と宇宙基地局が直接繋がることになります。そうなれば、将来的に地上の基地局は不要になり、そこに依拠している企業や政策は破綻する方向に向かうでしょう。新産業としてのスマートシティのデータサイエンスプラットフォーム市場は約42兆円規模となっており、スマートシティのビッグデータを制する者が世界のデジタルプラットフォームを制すると言っても過言ではありません。
一方、日本が現在、官民一体となって取り組んでいる半導体再興政策は、それを活かすビジネスセンスや新しい技術を統合するノウハウがなく、いまだプロダクトアウト型の戦略を取っています。「ものづくり」政策が利権構造の温床となり、そこで完結してしまってはグローバル競争に打ち勝つことはできません。海外の半導体企業では、マーケット・インやシステム・レベル・インテグレーションやプラットフォーム型によるトータル・システム・ソリューションの思考で企画開発を行う戦略を取っています。
日本においても、真の日の丸半導体再興のためには過去の失敗を分析し、グローバルな視点での冷静な現状分析と認識が不可欠です。そのうえで、世界的な半導体市場における先を見据えた戦略、将来的なグランドデザインを描く台本づくりやストーリーが必要です。また、インテリジェンスの能力やサプライチェーンの構造をどう作っていくのかも非常に重要な課題です。米中半導体戦争の渦中にあり、デジタル赤字が拡大し続ける中において、日本の半導体政策の舵取りは非常に難しいですが、党派を超えた国策として、日本のデジタル戦略を進めていかなければなりません。

※ニッポンハイテク再成長させる会から「賢者の選択」ホームページにリンクしています


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