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半導体企業の経営は簡単ではない
2024年12月1日に米国IntelベルシンガーCEOが実質解任されました。
これは日本政府が推進するファウンドリ事業推進も解任理由の1つですが、最大の理由は本業の半導体プロセッサ(CPU x86)が米国エヌビディアのGPUにサーバー(データセンター向け)ビジネスで大きな開きが出来ました。
ここは台湾TSMCの先端ファウンドリプロセスを採用しているエヌビディアと自社プロセスに拘ってプロセス世代が1-2世代遅れた訳です。
米国マイクチップも製品在庫を抱え経営状況が悪化し、工場を閉めることになりました。
これが民間企業の半導体経営の難しさで、ラピダスのような日本政府の税金投入経営とは違うのです。
【マイクチップテクノロジーの状況】
~引用~
半導体メーカーの米マイクロチップ・テクノロジーは、アリゾナ州テンピの工場を閉鎖すると発表した。約500人の従業員に影響が及ぶという。
また受注が予想よりも低迷しているとして、10-12月期の売上高見通しを当初予測の下限である約10億3000万ドル(約1540億円)近辺に修正すると発表した。
スティーブ・サンギ暫定最高経営責任者(CEO)は2日、「在庫水準が高く、十分な生産能力があり、将来的に他の施設で生産能力を拡大することも可能」なため、テンピの工場は2025年7-9月期に閉鎖すると発表資料で説明した。
同社は深刻な販売不振に陥っており、今年の売上高は40%減少する見通し。先月には以前CEOを務めていたサンギ氏がガネーシュ・ムールティ氏の後任として返り咲いた。
【IntelのベルシンガーCEO解任】
~引用~
米半導体メーカーのインテルは、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の12月1日付での退社を発表した。同氏が進めた再建計画に対して取締役会が信頼を失い、道半ばで事実上更迭された格好となった。
事情に詳しい複数の関係者によると、同氏と取締役会の衝突は先週、市場シェアの回復およびエヌビディアとの差を縮めるための計画の進捗について話し合われた際に頂点に達した。退社か解任かの選択肢を迫られたゲルシンガー氏は、インテルを去ることを選んだという。非公開の情報であることを理由に関係者は匿名で語った。
2日の同社発表によると、取締役会はゲルシンガー氏(63)の後任探しを開始。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)とインテル・プロダクツのミシェル・ジョンストン・ホルトハウスCEOが暫定共同CEOに就任する。
かつて半導体業界の盟主だったインテルは苦境に陥っており、現在は再建計画に必要な資金の確保に取り組んでいる。同計画についてゲルシンガー氏は、企業史上「最も大胆な再建計画」と呼んでいた。半導体業界が人工知能(AI)分野にシフトする中、インテルは投資家の支持を失った。各社はAI用アクセラレーター・チップを中心に構築されたコンピューターに投資しているが、この分野でインテル製品の存在感は薄い。
インテル初の最高技術責任者(CTO)だったゲルシンガー氏は2009年に退社後、再建計画を率いるため2021年にCEOとして同社に復帰。台湾積体電路製造(TSMC)のようなライバル企業に奪われた技術的優位性を回復させることを目指した。
しかしゲルシンガー氏はさらに踏み込み、インテルを半導体の受託生産メーカーに変えようとした。またインテル再生戦略の一環として同氏は、コスト負担の大きい生産網拡大の計画も打ち出した。これにはオハイオ州に建設を予定する半導体製造拠点のプロジェクトも含まれる。
同氏は、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)がデータセンター向け半導体の分野で圧倒的強さを示したことで意表を突かれた。インテルは独自のAIアクセラレーター「ガウディ」を持っているが、なおエヌビディアには後れを取っている。
インテルの暫定執行会長に就くフランク・イヤリー氏は発表文で「当社にはまだやるべきことが多くあると認識しており、投資家の信頼回復に向けて全力を尽くしている」と説明。「取締役会として、まず何よりも製品グループを全ての活動の中心に置かなければならないと承知している。顧客がこれを望んでおり、我々は顧客のためにそれを実行する」とした。
ゲルシンガー氏の退場により、より劇的な戦略転換につながる可能性がある。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は「今回の動きは、当社が以前から提唱してきた新たな戦略への扉を開くものだ」と指摘。「ゲルシンガー氏はインテルのプロセス・ロードマップを前進させることに概ね成功したが、AIでの弱さを踏まえれば、インテルが単独で最先端半導体製造を追求する規模を持っているとは思わない」と述べた。