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ちょっと変わり者、古本屋をはじめる
初めまして、山本ジュラフ氏と申します。このnoteは突き抜けて変わっているわけでもなく、かといって社会生活に上手く馴染めているわけでもない、そんなちょっと変わり者が仲間を求めて古本屋を開業するまでの記録です。予定地は千葉県柏市。予定時期は未定ですが、目標は近日中に立てようと思っています。
簡単に自己紹介
生年月日:1987年9月25日(石橋湛山やウィル・スミスと同じ日です)
血液型:B型
家族構成:妻、長男、次男
経歴:愛知県で生まれ、学力は平均以下。読書は全くしていなかったわけではありませんが、所謂読書家というわけではありませんでした。中学時代から哲学書だとか世界の名著読んでたって人を見ると震えます。読書戦闘力高すぎるだろって。
その辺に転がっている10代男子よろしく、部活やったりやめたり、友達と海釣りしたり麻雀したり、古本屋で一日漫画を読み漁ったり、夏休みをゲームで消化してしまったりそんな日々を過ごしていました。
とはいっても、少ないながらの読書体験みたいなものもあります。本自体は子どもの頃から好きではありましたが、中学二年生のときに読んだ『雨の日には車をみがいて (集英社文庫) | 五木 寛之』は衝撃的でした。それまでは、ファーブル昆虫記とか、ずっこけ三人組とか、ハリーポッターとか、果てしない物語とか児童書とかファンタジーを読んでいました。中学二年のある晴れた春に何を思ったのか、文庫本コーナーに目が行き、手に取ったのは五木さんの本。中二心の変な部分に触れたんだと思います。この本と出合ったことで、わたしの読書人生が始まりました。というとカッコよく見えますが、たぶん一般文芸で描写される程度の性描写に中二キッズがビビっと興奮してたんだと思います。五木さんの本にそんな性描写があったか、今では定かではありませんので今度改めて読んでみようと思います。(「今度」というと買わないのでさっそくぽちりました)
そこから、文庫本のジャケ買いのような感じで中二の夏休みは読書に耽っていた記憶があります。主に大人っぽそうなやつを選んでいた気がします。*普通の文芸です。集英社文庫が多かった気がします。
そんなちょっとだけ歪んだ読書をしている中で、当時一番好きだった本は『そのときは彼によろしく』です。『世界の中心で愛を叫ぶ』ではなくこの本を選ぶあたりにも「ちょっと」変わり者感があるかと思います。ほかには北村薫さんの『スキップ(新潮文庫) 時と人』のシリーズ。『ターン (新潮文庫)』は映画も見た気がします。大竹しのぶさん主演だったような……と思ったら全然違いました。牧瀬里穂さんという方でした。また、中村勘太郎さんも出演してたんですね。記憶とはいかにいい加減か……
『そのときは彼によろしく』は何度も読み返しました。今思えば、元々ファンタジーが好きだったところに、時間移動系というか日常とは違った時間軸の物語に触れ、わたしの中の魔術的リアリズム感のようなものが醸成されたのかなと思います。
高校に入ると、段々とネットで検索したり顔も知らない人とコミュニケーションとることが増えました。そんな顔も知らい知人からある日、森博嗣の『スカイ・クロラ』を紹介され森博嗣ワールドへ入っていきます。また、一人で本屋を歩いているときに『ZOKU 』のシリーズに出会い、より一層引き込まれていきました。なんとなく、名古屋大学の教授だってのも同じ愛知県在住(当時)として親近感のようなものを持っていたと思います(わたし自身は名大にいくような学力は当然ありませんでしたが)
横道にそれますが、名古屋大学であることに親近感を覚えていたことと、今わたしが愛知県を出て千葉県柏市に住んでいることは振り返れば関係があるのではないかと思い、簡単に書き残しておきます。
愛知県というのは、これまた「ちょっと」変わった県だと思っています。上京して知ったのですが、愛知県のことを「偉大なる田舎」と呼ぶことがあるようです。これは言い得て妙だと思います。愛知県は、東京と大阪の中間にあるということも関係しているのかもしれませんが、上京したり大阪にいくことをせずとも愛知県内で完結できる程度には栄えています。それ故になのか、「愛知県から出る必要もない、愛知県は素晴らしい」というようなちょっと歪んだ県民性もあったりなかったりする気がします。もちろん、愛知県からも素晴らしい作品や著名人が生まれていますし、愛知県の文化自体が世界に誇れるものではあります。しかし、愛知県自体の自己評価と日本全国からみた愛知県の評価には大きな乖離がある気がしていました。
そんなちょっと歪んだ県で、作家として成功している森博嗣さんに対して「同じ愛知の人」という親近感とともに尊敬の眼差しを向けていたような気がします。
とはいっても、自分も同じように愛知県で何かを成すというような発想は起きず、大学進学とともに上京を選び見事に愛知県から脱出し今にいたります。*愛知県のことをボロクソかいてますが、この心境は太宰治 故郷と同じです。自分ではボロクソいいますが、他人から愛知県のことを批判されるとムカっとします。故郷ってそういうもんだと思います。
と書いたあとで「森博嗣が愛知県出身じゃなかったら恥ずかしいな」と思ってWikiをみてみました。無事愛知県の人でしたし、”あの”東海高校出身でした。すごい。
歪んだ読書経験を経ながら地元の高校へと進学し、バンドをはじめ、受験勉強に挫折したりしながら東京の私大文学部へ進学します。
文学部へ進学したのは大した理由があるわけではありません。
同級生たちが「何もやりたいことがないから経済学部いく、経済学部行く」と口をそろえて言っているのを聞いて「なんとなくそういう選択は嫌だな」と思い「文学部なら本たくさん読めるかも」と思い文学部へ進学しました。在学中から薄々気付いてはいましたが、文学部でなくても本はたくさん読めます。また、他の学部の方がそれぞれの専門分野を深く学べるためもっと違う選択はあったかもしれません。なんてことを思いながらも、わたしは文学部日本文学科に入り、明治から昭和の文豪たちの思想や気概に触れ、今に至ります。
大学入学から2025年現在までの読書遍歴は、そのままわたしの書店「NicheHub」の在庫にも一部繋がりますので、少しずつ詳しくお話できればと思います。
というような人間が、まずはネット上で古本屋をはじめました。
現在37歳ですが、このタイミングで一歩踏み出そうと決心できたのは大学のバイト時代から感じていた「組織の中にいることの違和感」、また『しょぼい起業で生きていく | えらいてんちょう |本 | 通販』との出会いです。
内向的な人間なので、そもそもコミュニケーション能力が高いわけではありませんが、客観的にコミュニケーションが苦手と言われることはほとんどありませんでした。ですが、本人としては人と話したり、合わせたり、あるいは叱られたりすることにとてもストレスを感じていました。常々思っていたのは、「お客さんや見知らぬ人に怒られて頭下げるのは何も思わないけれど、社内や身内と軋轢が生じるのは耐えがたい」ということです。
言葉にすると「みんなそうじゃない?」と思われるかもしれませんが、日常的な会話の節々、例えば冗談とか、ボケのつもりのちょっとキツめの言葉が刺さったり、あるいは自分で発したものが相手に刺さってないか心配になったりすることが多く「しんどいな」と思っていました。
「いつかは自営でやっていきたいな」「でも革新的なアイデアとか一個も出てこないな……」と悩んでました。そんな折にこの本と出会い、生活を資本化するという発想に衝撃をうけました。
何者でもない、ちょっと読書好きなサラリーマンでも、何かできるかも知れない。一流の読書経験から厳選した、輝かしい選書コーナーや、お店にある本のすべてについて熱く語れるわけではない人でも、何か求められているかもしれない。そんな気がしました。
まずは古本屋を開業し、わたしのような「専門家ほどではないけれど、かといって周りに同じような本を読んでいる人もいない」そんな人たちが、フラッと寄れるようなニッチなハブを目指していこうと思います。
勝手な空想ですが、リアル本屋ができた暁には、哲学や文学やビジネス書などはもちろん、他の趣味のものも並べたりして、「書店」というよりは「コミュニティの場」を作れればと思っています。
小さなイベントやってゲスト呼んだりして、好きな人同士でワイワイしたり、お酒飲んだり、あるいはまだ見ぬご近所さんにもニッチな本を紹介して沼に誘い込んだりできたら幸せだろうなと妄想する今日この頃。
とにもかくにも、まずはネット古書店NicheHubをどうぞよろしくお願いします。