見出し画像

想い出の歌(ボケ学会)

幼稚園の頃、あがた森魚の「ハートのクイーン」が好きで、よくレコードを掛けてもらっていた。
父親は、A面の「赤色エレジー」が好きで、よく掛けていた。
昼寝の時間は、そのことで父と言い争った。
最後には父が折れて、「しようがねぇなぁ」と、「ハートのクイーン」を掛けてくれた。
「早く寝ろよ?」
私が寝たあとに父は「赤色エレジー」を聞いていたようだった。
大人になった今、「赤色エレジー」の良さが分かってきた。
特に間奏が良い。
ひとつ上の兄弟に、「あがた森魚の自伝買ってきたよ!」と言うと、「誰?」と言うので、子供の頃のことを話すと、「はぁ?知らないよ」と言うので、「あがた森魚を知らないなんてモグリだ!」と言ってやった。「だから、あがた森魚って誰よ?」の繰り返し。
笑われた。
「良いよね、お父さんとの想い出がある人は」と母が言う。
私と父はゲーセンのオーラ占い診断で100%の相性だったので、仲が良かった。
ちなみに母は20%。
でもね、母がいないとき、父がこっそり私に話してくれたの。
「母さん俺が死んだら再婚すると思うか?」
「そんな人じゃないと思うけど」
「そうかな?年を取るごとに好きになってくるんだよな」
「そうなの?」
「母さんには黙ってろよ」
「なんで?」
「恥ずかしいだろ?」
「分かった」
そして、母が来るといつもの父に戻って。
「クソババア、何してたんだよ!」
と言った。
父亡き後に、そのことを母に告げると「絶対嘘!信じない!」そんなこと言うわけがないと、突っぱねられたけど、何度か言ってるうちに、少し嬉しそうにするようになった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?