
【冒頭から暴投#024】職業妄想の自由〜感化されるにもホドがある〜
12年前に書いていたコラム。
すっかり忘れかけてたけど・・・
あの雑誌が僕の運命を左右したと思うと感慨深い。
ちっぽけだけど、今、ちゃんと感化された仕事もしてるしね^ ^
僕が「将来こんな仕事をしたい・・・」と初めて思ったのは小学2年の時。作文のタイトル的にいうと、所謂「将来の夢」というやつだ。兄が所有していた某漫画、主人公が三つの目を持っている・・・という設定のストーリー。うろ覚えではあるが、その漫画の中に、「日本に現存する古代遺跡が、当時何の目的で作られたのか」という謎を解き明かすシーンがあった。
当時の僕は、遺跡の発掘とか謎解きという行為に強い憧れを持っていた。
小学生の頃に、実際に土器や化石を探しに行った事もあったしね(僕が住んでいた地域では、縄文式土器なんかは結構な確率で見つけられたんだ)。
ある日僕は、母に「遺跡を発掘する人って、なんていう仕事なの?」という質問をした事がある。すると母は、「考古学者っていうんだよ」と教えてくれた。
そう、僕が最初に憧れた職業は「考古学者」だった。でも、どうやったら考古学者になれるのか・・・なんてことは考えもせず、月日とともにその気持ちは薄れていった。
次に憧れたのは、うさんくさい北海道弁を操る小学校教師が主人公のテレビドラマ。そのドラマにみごとに感化され「学校の先生」っていいなーと思い始めた。
小学5年の時の担任の先生が、当時の僕の目にはすごく恰好よく映っていた事もあり、教師という職業への憧れは、小学校を卒業するまで持続していた気がする。
次は、中学時代。中学を卒業する際に、卒業文集に載せるため「将来の夢」というタイトルで作文を書かなくてはならなかった。その時点では、既に、教師という職業には興味がなくなり、かといって、これといって就きたい仕事の具体的なイメージを持っていたわけでもなく、作文を書くのにものすごく手間取ったのを覚えている。
結局、僕は卒業文集にアリバイ的に「サラリーマンになりたい」と書いた。「毎月きちんと給料を貰える仕事ならなんでも良い。そして、休みを使って、バイクで旅をしたい」とも書いた。実は、「将来の夢」は、仕事ではなく、旅の方だった。
サラリーマンと書いたのは、日曜日夕方に放送していた、魚介類の名称に似た名前のキャラがたくさん登場する超長寿アニメの影響。「給料日には、ちょっと奮発して・・・」なーんてシーンが給料日自体が無い自営業の家庭に生まれ育ったボクにとっては、かなり羨ましかったんだと思う。
さてさて、時は流れ高校〜大学時代。進学か、就職か・・・を悩んでいた時期に、初めて真剣に自分が将来の職業について考える事になる。
後にコカイン密輸事件で逮捕された某氏が社長を務めていた出版社、「○○書店」が当時発行していたマイナー雑誌を僕は定期購読していた。
その雑誌は、自社映画の宣伝や書籍等の記事広告はあるものの、全体としては広告が非常に少なく、その割には、値段も手頃。内容も「こんな雑誌、誰が読むの?」って思ってしまうくらい、雑多でマニアックな内容の雑誌だった。
これは想像でしかないが、その逮捕された社長のわがままor趣味で作っているに違いない・・・じゃなきゃ、こんな売れなさそうな雑誌作る訳が無い。当時僕はそう思っていた。そして、その雑誌は、予想通り?長くは続かず廃刊となった。
「あの社長のように自分の好きな物ばかりで内容が構成された雑誌を作れたら楽しいだろうな」という思いが大学時代の就職活動にも影響を及ぼし、紆余曲折しながら今日に至る。
子供の頃から両親に、「あんたは、色んなものに感化されやすい」とよく言われた。漫画に、ドラマに、雑誌に・・・さて、これから僕は何に感化され、何をするのか、それともしないのか。
[2012年TARUPON FREE3月号 vol.91掲載]