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【冒頭から暴投#035】雪あかり、観るのも良いけど作るのも・・・

今は編集部としての参加はしていませんが、陰ながら応援しているイベント「小樽雪あかりの路」にまつわるお話です。


 当編集部は、2005年の「小樽雪あかりの路」から、運河会場のオブジェ作りに参加している。
 上の写真は、2006年、2回目の参加の際に製作したオブジェである。当時、前編集長(当時僕は、一編集部員だった)の「できるだけ、少ないろうそくで面白いものを・・・そうだ、卵を作ろう」のひと言から出来上がったのがコレ。
 初めは、巨大な卵型の雪の塊をつくり、裏側から内部をかまくらを掘る要領でくりぬき、ろうそくの灯りが透けて見えるようになるまで壁をできるだけ薄くした。
 そして、外側は、気温が氷点下になる夜に、ガーデニング用の霧吹きで水をかけ、少しずつ凍らせていった。ある程度凍ってくると今度はバケツで水をかけ、氷で卵の殻を厚くして強度を高めた。
 雪あかりの路が始まる前日には、それなりのカタチになり、いよいよ、点火。巨大卵はうっすらぼんやりと光り始めた。
 「なかなかいいよね」と編集長とほくそ笑む。ただ、卵の中にろうそくの熱がこもり、イベント開始数日後には、ところどころに穴が・・・。初めは、穴に湿らせた雪を詰め込み、その上から更に水をかけ、凍らそうとしたが、毎日ろうそくを灯さなければならないため、完全に修復するのは不可能だった。圧倒的に融けるスピードの方が早いのだ。
 その結果、修復するのではなく、崩れたなりに、新しいオブジェに進化させる方向で楽しむ事にした。
 写真は、ちょうど塞ぎようがない大きな穴があいてしまった時に、「卵をこじ開けて、中から何かが出てくるようにしよう・・・どうせなら面白いモノを・・・うん、おどろおどろしいヤツね」と半ば悪ノリで作ったもの(笑)。
 手らしきものが殻をこじ開け、足が片方だけ出て来ている状態。
 このオブジェの前を通る観光客の「ちょっと何コレ?恐い」「ゲッ気持ち悪い」という声が聞こえて来る度に、「してやったり」とニマニマした(ん?性格悪い?)。たぶん編集長も同じ気持ちだったはず(笑)。
 雪あかりの会場を歩く観光客の多くは、ろうそくの暖かな灯り=ロマンチック=ハート型・・・という素直な方向性のオブジェをたくさん眺め、心温まる気持ちになっていたはず。そんな時にこれだもの(笑)。あまりにも方向性が違っていて、実行委員会の方に注意されるのでは?とヒヤヒヤもした(笑)。 
 でも、どんな事でも、予想の斜め上を行くのは楽しいものだ(ん?性格ネジ曲がってる?)。
 このあと、このオブジェもさらにろうそくの熱で崩れていくのだが、最終的に卵の殻の残骸の中に、白鳥のオブジェを作り、最終日を迎えた。
 結局、準備期間を含め、十数日間運河に通い、雪で遊んだ事になる。
 たぶんこんなに雪と戯れたのは、小学生以来だろうな。
 でも、毎日ワクワクしながら楽しめた。今日は何を作ってやろう・・・ってね。子供にかえるというか、バカになるというか、大人になってからのそういう時間ってけっこう貴重な気がするんだ。年とともに、身体も頭もガチガチになり、バカになる事なんてめったに無い。でも、バカになれたらめっちゃ楽しかったり・・・。うまく言えないが、そんな遊びをさせてくれるのが、「雪あかりの路」と勝手に解釈しよう(笑)。
 時期的に、寒いし、面倒だしと、雪あかりの会場に行った事が無いという声を聞くと、「会場を見て歩くより、自分で作った方が楽しいよ」って言いたくなるのを時々堪えている自分がいる。
 さて、今年は何をして遊ぼうかな・・・。


[2013年TARUPON FREE2月号 vol.102掲載]

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