難病と闘いながら日常を生きるひとりの女性のキロク『こむぎのキロク 病気と一緒に生きること』 「はじめに」特別先行公開
弊社より8月19日に書籍『こむぎのキロク 病気と一緒に生きること』が発売されます。YouTuberである著者のこむぎさんは生まれながらに、わずかな刺激で皮膚がただれたり、水ぶくれができてしまう「表皮水疱症」という皮膚の病気にかかっています。我々からは想像もできない苦しみを抱えながら日常を生きていくこむぎさんのエッセイ本になります。
本書では、こむぎさんの幼少期から、壮絶な会社員時代、そしてYouTuberとして活躍されている現在までの人生を振り返っています。また巻頭口絵では、カメラマンの栗田一歩さんが撮影したこむぎさんの写真がたくさん見ることができます。京都で撮り下ろした未公開の写真もあります。この記事では特別に本書のプロローグページを公開します。
『こむぎのキロク 病気と一緒に生きること』
<はじめに>
こんにちは、こむぎです。
あなたは背が高いですか? 低いですか?
運動が得意ですか? 苦手ですか?
人によってそれぞれ見た目や特技は違いますよね。私は伸長170㎝なので、女性にしては背が高いほうかな、と思います。そして運動は不得意……というか、「できない」ものがたくさんあります。なぜなら、私には「人とは違う」特徴があるからです。
その特徴とは、私が「表皮水疱症」という皮膚の病気をもって生まれてきたことです。
この病気は、10万人に1人の割合で発症する難病です。国の指定難病にも認定されていて、現代の医学では治らないといわれています。少しの摩擦や衝撃で皮膚が剥がれたり、水ぶくれができたりしてしまうので、いつも身体のどこかに傷ができています。
子どもの頃は、傷口が化膿したり血が滲んだりしていることで、好奇の目を向けられたり、偏見を持たれたりしたこともありました。
「かわいそう」
「気持ち悪い」
「伝染るんじゃないの?」
など、直接言われたこともあれば、間接的に好奇の目を向けられたこともあります。
ただ普通に生活しているだけなのに、私のことを何も知らない人からそんなふうに見られたり、声をかけられたりするのは、とても傷つきます。
けれど、私は自分が不幸だと思ったことはありません。
物心ついた頃から、両手、両足に爪がないので、ネイルができないのは残念ですが、料理もおしゃれもできるし、恋だってちゃんとできるのですから。
ただ、世の中にはあまりにも表皮水疱症のことを知っている人が少なく、それが差別や偏見につながっているのではないかと感じていました。
私がYouTubeで自分の病気のことや日常生活について投稿する「こむぎのキロク」というチャンネルを開設したのは、少しでも「表皮水疱症」のことを知ってほしいという思いからでした。
あたりまえですが、世の中にはいろんな人がいます。差別や偏見をなくそうといろいろなところでキャンペーンやガイドラインができたりしていますが、言葉だけ、頭だけ理解したつもりになっても、世の中はきっと変わらないと思います。でもそれは「知らないから」というのも大きな要因ではないかと思うのです。
「病気の人も健康な人も、みんなが生きやすい世の中になったらいいな。そのために私ができることって何だろう」と考えた時に、YouTubeという方法を思いつきました。この本も、そんな思いを込めて書きました。本書を通じて、多くの方に表皮水疱症という病気を知ってもらい、私と同じ病気の方やご家族・ご友人に同じ病気を持つ方々の、希望や支えに少しでもなれたら嬉しいです。
こむぎ
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