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現存しない意識との対話

人を外見で判断する事は容易だ。
しかし、人の潜在意識にあるもう一つの顔を判断する事は困難だろう。

人は好かれようとお世辞を言い、相手に好かれたいが為に人格を装う。
これらは珍しい事ではない。
意識をせずに自然と振る舞う行為でもある。

また安易に自身を視られたくないものだ。
そして多くの人々は内に潜む真の意識を読まれない様に振る舞うのだろう。

そこで潜在意識という概念を考えた時に思いついた作品が、邦題「ザ・セル」である。

日本公開が2001年の3月という事は、今から数えて約20年前の作品として考えると、色褪せる事なく鑑賞できる作品でもある。

この作品は精神世界を題材にしている。
簡単なあらすじを説明すると、先進的な医療施設で働く主人公ジェニファー・ロペス演じるキャサリンは、昏睡状態のエドワードの意識、または内面の世界に入り込み治療に携わる。

然し、十分な結果を残す事が出来ず、キャサリンの課題は肥大化するばかり。

医療施設とは別の世界では、連続殺人に結びつく水死体が発見される。
事件の担当をしていたFBI捜査官ヴィンス・ヴォーン演じるピーターは徹底的な捜査を仲間に促し、ヒントとなる小さな手掛かりへと辿り着く。
それは色素がない犬の毛質だ。

遺体が漂白されている事を踏まえると、恐らく犯人は先天性白皮症(アルビノ)ではないかと捜査対象に加える。
だが、次なる標的とされる女性らしき捜査対象が入り込む。
家族から警察へ行方不明として届出があり、警察は動き出す。

やがて小さな手掛かりが大きな発展へと繋がる。
犬の毛質を頼りに飼い主を特定する事に成功した捜査官達は直ぐ対象者の家へ向かう。

その後、犯人は見事に確保できたのだが、昏睡状態である犯人を取調べをするには難しい状況であった。
そこで警察内部の担当医が精神医療を得意とするキャサリンが務める施設を紹介する。

ピーターは早速、施設に入り昏睡した犯人であるヴィンセント・ドノフリオ演じるカールから人質となる女性の居場所を突き止めて欲しいと申し出る。

この申し出にキャサリンは消極的だった。
やはりエドワードの件が片付かない事が要因なのだろう。

しかし考える猶予を残されないと知ったキャサリンと施設のメンバーは、カールの意識に直結しようと試みる。

現実から離れたキャサリンはカールが潜む意識へと直結する。
最初は内向的な子供が現れ、キャサリンは直感からカールの幼い頃だと察する。

子供視線で接するキャサリンだが、カールは中々心を打ち明けない。
それどころか心を閉しキャサリンの意識を遠ざけようとする。

そこで事態が大きく揺れ動く。
カールの過去と意識はキャサリンが考えている以上に深刻で、現実と意識の狭間から抜けられないほど息苦しい状況が続く。

一旦は現実へと生還するも、再度カールへの意識へ向かう自信をなくしたキャサリンに、精神世界に入り込む経験のないFBI捜査官ピーターは願い出る。

今までは一対一という対話方式での試みはしてきたが、二体一という稀といっても過言ではない意識へのつながりを再度試みる。

それでもカールの意識が勝り、二人はそのまま生還できるかも不明なまま、意識を高めカールへ立ちはだかる。

こういった事が続いている所で、人質となっている女性の身柄は未だにわからないままだ。

果たして女性を救えるのだろうか?
そしてカールに潜む邪悪な精神をキャサリンとピーターは克服する事に成功するのだろうか?
後はDVDで鑑賞して下さい♪

それにしても、この作品の世界観は惹きつけられる。
先ず色と風景はアートそのもの。

何よりも衣装を手がけた石岡瑛子氏の功績は絶大だろう☆

現存しない世界と現存する社会の狭間を目まぐるしく描いたこの作品こそ、今鑑賞すべき作品であるとお薦めしたい♪
大きなヒントとは程遠いかも知れないが、小さな発展へと繋がる事は間違いなさそうだから★

わーお!



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