植物との対話 ゲーテシュタイナー的植物観察入門@裏磐梯合宿2024を終えて
今回の合宿は、ちょうど裏磐梯が紅葉のピークかなという日程でした。実際には例年だとそうなのですが、今年の暖かい気候に、紅葉は遅れ気味。
そんな中でも、紅葉がはじまっている中に、秋の赤い色、の意味を感じることができました。
赤の体験
4つのエレメント的な視点からは、この季節、熱エレメントが撤退していますが、紅葉をはじめ、いろいろなところに熱エレメントの象徴である、「赤」を見いだすことができます。そのことに思いを巡らせてみたいなということで、みんなに、お散歩をしながら、赤いものを見つけてもらいました。
集めてみると、思いのほかたくさんの赤が見つかり、テーブルの上がにぎやかになりました。
以前のタイマツバナ合宿でも、まさに真っ赤な花が主役でしたが、夏の赤と、秋の赤も、なんか雰囲気が違うと感じます。
ちょっと寂しくなった秋の風景の中に、赤い色に出会ったときの、ハッとした驚きや喜びは、また夏の赤と違ったものを与えてくれるように思います。
赤という色を、ぬらし絵で体験していくなかで、赤の持つ神性や、秋の熱のエレメントの動きなどへのイマジネーションも広がりました。
フォルムの感覚
植物を観察する時、色と形は別の要素として見ていくことができます。
色は「〇〇の色」という何かに付着した物質的な色ではなく、たとえば「赤」という普遍的な存在として体験していくことができます。
形は線描画を通して、生命の衝動や動きなどを体験していくことができます。植物観察の中で「形とは動きが結晶化したもの」というお話をしばしばさせてもらっています。
生命~動き~形という概念を、線描を繰り返していくことで、ひとつになった感覚に到達できると、植物のフォルムを見る目も変化していきます。
なので、今回も、両方の体験をしてもらえたらと思い、フォルメン線描は短めでしたが、みんなで描いてみました。基本的な生命的な動きを描いた後に、1日目に観察した葉っぱの形を思い出して、動きから、葉っぱをつくっていきました。
写真は結果だけなのですが、ここまでにに至る動きの体験がとても大切。
フォルムの感覚に慣れてくると、より、植物の動きをとらえやすくなり、植物のスケッチなんかも、やりやすくなっていきます。
私は植物のスケッチをしていると、手が植物の動きと一体化したかのように感じることがよくあります。
絵を描くことが苦手、という意識の方もいると思いますが、芸術とは誰にでも開かれたもので、上手に描くことが目的ではなく、そのプロセスの中で起きる一体化の感覚や創造性の感覚を体験すること、そこから、気づきを得ることなどのほうが大事なことなのです。
オニグルミの観察
夏は、タイマツバナの観察をしよう!というのがすぐに決められたのですが、今回は急に寒くってからの1~2日後に合宿初日だったので、直前まで、何を観察するかという決断ができずにいました。
こういうワークショップの場合は、自分の都合で決めることができず、自然界と一緒に考えていくような感覚でいないと、よい流れができなかったりします。
自然を多くの人に感じてもらったり、自然界の語る言葉を伝えることがしたいと思ったときから、自分一人でやるのではないという感覚が自分の中にありました。2006年ぐらいから、そうしたことをちょっとづつ始めたので、もう20年近くになります。
その間おこなってきたワークショップの中で、結果的によい流れになった!と思うことがほとんどで、いつも自然界からのサポートがあることに感謝し意識するようにしています。その場だけではなく、もちろん、常日頃からの自然界との付き合い方も大切にしています。
そんなこんなで、今回は、直前に「オニグルミ」の観察をしようと決めました。葉っぱも落ちかけていて、実はたくさん拾ってあるものの、花も見ることができないし、一番葉っぱが生き生きとしている様子も見れないので、そこから、最大のものを受けとるにはどうしたらいいのか?ということ大事にしていくようにしました。
ゲーテ・シュタイナー的植物観察
植物観察は、とにかくよく観ることがすべての土台となります。
植物は生命の存在であり、私たちはその生命の形を目の当たりにしているのですが、その見えない「生命」を観るには、土台をまずは作ります。
土台作りに何年もかかると考えておいた方がよいぐらいです。それでも、少しづつ、少しづつ、対象に対する理解が進んでいくことは、魂の喜びになっていきます。
そこから、人間としての在り方を学ばされることもあるし、癒しを得ることもあります。そして自分の世界観を広がっていきます。
そのことから考えれば、合宿の2泊3日は、とっても短い時間です。そして、合宿に参加してくださったみなさんは、裏磐梯が何度目かという方と、全く初めての方が半々という感じでした。
内容は入門編ということで、形を観ることの重要性、この観察方法の意味、そして4つのエレメントのお話に絞りましたが、そこをしっかりやっていくことで、テーマとして選んだオニグルミの木の本質につながることができたのではないかなと思います。
まだまだ、観ていない季節もあるので、春の芽吹きから夏、という季節の巡りの中での観察もしていかないと完全とはいえませんが、今、見せてもらっている姿から、思いのほか多くのことが受けとることができたと思います。
裏磐梯の自然の力のパワフルさや、グループの力の大きさを実感します。
自然界の生成と衰微
シュタイナーは、霊的修行の中で、植物のことや、自然界の生成と衰微について瞑想することを著書で語っています。
今回は植物が衰微していく季節に私たちはいました。
今の位置を確認し、今に至る時間の流れ、これからの時間の流れをイマジネーションの中に映し出せば、季節を動かす周期の霊の意識で見ることができるかな、と思い、みんなに丸い暦を実際にかいてもらうこともしました。
時間は直線ではなく円環性があるということ、普段私たちが無意識にとらえている世界観と別の世界観があることを自覚化するワークもしました。
植物の世界を感じる時、この土台もとても重要になるかなと思います。季節の動きの中で植物たちの生命も動いています。そこにはまた、自然界の見えない存在である精霊たちも働いています。
まとめ
こういう体験を重ねていくことで、物質主義的な世界のすぐそこに、実は生き生きとした生命の世界があるということを一人でも多くの人に気づいてもらえたらと思います。そして私たちと共に生きる自然の存在とともに、地球存在が目指したい世界を少しでも表現することができたらと思います。
合宿の3日間の様子はフェイスブックに投稿していますが、こちらの記事にも断片的ですが、まとめています。
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