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親友が旅立つ前に語った映画を観てきた。


37seconds

「ひとりだってできるよ!ほんとはお母さんがひとりになれないだけなんでしょ!」
これが役者さんが演技しているんだということを忘れていた。となりにいる人に自分の嗚咽は悟られていただろうか。

脳性マヒで車椅子生活を送るひとりの女の子が自分の人生を歩みはじめる瞬間を描いた映画37secondsを観てきた。
神戸で観たんだけれど、観客はわずか10人ほどだった。映画館を出たときしばらく言葉が出てこなかった。

最後に、自分の大切な友人だったあの人のクレジットが出てきたこともあったんだろうけど、それ以上にこの映画のなかにあった世界に自分が入りきっていたから、しばらく現実に戻るのにリハビリが必要だったのだと思う。


ひとりの女の子。
彼女は脳性マヒだ。
それなりに好きなことを生業として生きている。

きっかけは
「自分が自分としてこの世界で生きているのだろうか」
という誰もが感じたことがあるだろう思いからはじまる。

自分を壊してしまいたくて踏み出し、
そうして起こるべくして起こったトラブルで自分を見失いそうになるときに、
彼女を大きな視点で見つめてくれる出会いが生まれる。

その出会いから、彼女は大きな存在に抱かれながら自分の世界を
獲得していき、本来の自分の人生を取り戻していく。

映画を見終わったあとに、その圧倒的な表現の世界に引き込まれて、自分が主人公の女の子のそばから彼女の世界を見つめていたことを知る。


その世界はなんだったのだろうか。

たぶんだけれど、自分を肯定されたような気持ちになったんだろうと思う。

自分が信じたい世界を、自分を生きるということを。


誰かの人生を味わいながら、その出口に自分の人生を見つめている。

PAULさんがこの映画を作ったひとの、そしてこの映画をこんなにも自分ごととして応援していた理由が少し分かったような気がした。


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